第18章 憤慨
時間はあるのに会えないなんて
嘘をついたのは卑怯だと思うけど…
私は怖い思いをさせられたし
首筋を噛まれて痛い思いだってしたんだから…
…これくらいしたって罰は当たらないよね。
ア「…あのー、さん?
水柱様なんですけど…」
『ん?』
さっきいなくなったはずのアオイちゃんは
また私の部屋に戻って来ていて…
彼女の表情は、何故か困り果てていた。
ア「えっと…、
お会い出来ない旨を伝えて来たんですけど…」
『うん…?もう帰ってくれたんじゃないの?』
ア「それが…
さんのお仕事が落ち着くまで
屋敷の門の前で待っている…と。」
…
『…。はい?』
そんな風に言うってことはやっぱり
私に謝りに来てくれたってこと…だよね…。
今、蝶屋敷の空き部屋は結構あるのに
わざわざ外で待つなんて…
冨岡さんは罪滅ぼしでもしてるつもりなんだろうか…。
でも…、本当に悪いと思ってるなら
数日経った今じゃなくて、もっと早く来て欲しかったよ…。
外で待ってる、なんて聞かされた私は
すぐにでも冨岡さんの元に行きたくなったけど
まだ私の決心は揺らがなかった。
ア「やはり…お顔を見せてあげた方が…」
『ううん、いい…。
少ししたら待ち切れなくなって帰ると思うから。』
そうだよ…
門の前でひたすら何もせず待つなんて
そんなの……無理に決まってる…。
時間がもったいないし絶対無理…
だよね…?
『…よしっ、休憩は終わりにして
屋敷内の掃除してくるね?』
ア「ぁ…はい…。」
アオイちゃんは冨岡さんの事を気遣っているのか、私に対して何か言いたそうにしていたけど
私達2人の問題だと分かっているようで
掃除をしに行く私に何か言ってくる事はなかった。
冨岡さんだって忙しいはずだし
きっとそのうち痺れを切らして帰るはずだもん…。
その後、雑務の一環である掃除を隅から隅まで行った私だけど…
掃除中も、冨岡さんのことが気掛かりで仕方なかった。