第33章 待ちに待った初戦
そんな会話がされているとも知らずに雅は加賀のマシンをモニターで追っていた。
『雅?』
「あ、どうかした?」
『次のラップから、ロベルトとの差、教えて』
「差でいい?」
『あぁ』
「了解」
そうして言い終わるが早いか目の前を加賀のマシンが通り過ぎる。隣のガレージもざわざわと慌ただしくなってくる。
その時だ…
『おーーーーっと!!ここで前年度チャンプのロベルト!!クラッシュー!!まさかの初戦敗退だ!!』
そのアナウンスが場内に響いた。
「城?ロベルトクラッシュしたよ」
『……・・わかった』
「2位とのタイム差、どうする?」
『いらねぇ』
そう切り返して加賀は自身の走りを全うしていった。
「…お隣さんにゃ悪いけど、うちの総取りだな」
「間違いないな」
「復帰初戦にしちゃいい仕上がりだ」
「復帰って言っても城自体は現役走ってたし」
「インディにしちゃ復帰だろ」
「それもそうだね」
そうこう話していれば加賀の最終ラップ。見守る中文句なくのポールtoウィンを果たすのだった。
わあぁぁぁ!!と歓声が上がる。ただ状況が違うのが昨年チャンプのロベルトのガレージだった。
『お前らが!!!ちゃんと整備してねぇからだろ!!』
そんな声が響いて来る。
「お隣、荒れてるな」
「そりゃそうだろ。ぽっと出の城に取られてんだ。」
「そうは言ってもさ?仕方なくない?」
「雅?…って、ハァ…」
三人三様の反応を示している間に雅は加賀を出迎えていた。
「おかえり!」
「おう、ただいま」
そういえばメットを預かる雅。嬉しそうに笑えば加賀もふわりと唇を重ねる。
「…ち、ちょっと…」
「ん?最高のプレゼントだけど?」
そう言いながらもポンっと頭をなでる。時期に記者たちが周りを囲んできた。