第33章 待ちに待った初戦
翌日は家でのんびりと過ごし、データの転送も忘れずに雅は三人に送っていた。
***
そうして初戦決勝…メットを持って加賀の隣に立っていた雅。注目度が一気に高まっているとはいえやはり現チャンピオンにインタビューは向かう。一歩下がるものの、そろそろ時間も迫った時だ。
「城、コレ…」
「ん、サンキュ」
そう短い会話のあと、メットを渡す雅。腕にそっと触れれば背伸びをして加賀の唇にそっと自身のそれを押し当てた。
「…行ってらっしゃい」
「ん、行ってくる」
グレイたち三人は見て見ぬふりをしたまま加賀がマシンに乗り込むのを待った。先頭に位置されたマシンに乗り込めばリックが声をかける。
「珍しいな、城がレース前にって」
「うるせぇよ。俺が無事に戻れるまじないだよ」
「はいはい」
そう返事をすればパシっと手を叩けばリックもコースから出ていく。全台コース上に落ち着けば、セーフティーカーの先導で走り出す。先頭でのんびりとタイヤを温める様に走る加賀。最終コーナーを回り、次第にエンジン音も高鳴り、スピードが上がってくる。第一コーナー、当然と言わんばかりに加賀が先頭でかけ出した。
「まずは順調な滑り出し、か」
そう呟くグレイ。じっとモニターを見つめながらも手元にはパソコンではなくバインダーを持っていた雅。カリカリ…っと時折書き出しながらも視線はほぼモニターに向いている。
どれほど走ったか…タイヤ交換の指示を雅に出す様に伝えた。
「…ッッ」
「頼んだぞ?」
そういわれてボードを出す雅。
「…クスクス…雅にボードだししてもらえる日が来るなんてなぁ」
ハンドルを握る加賀の手にも力がこもった。