第33章 待ちに待った初戦
加賀が戻ってすぐから記者が何人もやってくる。予想していたこととは言え、あからさますぎて五人ともどこか笑ってしまっていた。
「…すみません!今よろしいでしょうか?」
「はい?」
「このタイムアタックなんですけど!どこかでレースやられていたりとか…!」
「あー、まぁ。」
「どちらで?!」
「要ります?」
「ぜひ教えてくれませんか?」
一気に囲まれた。それもそのはず。このコースであまり類を見ないタイムを叩いたのだ。
「…一気に囲まれてるー」
「すげぇな。あれだけガン無視だったのに」
「本当に…」
見てる間に囲まれ、インタビューを受ける加賀。それでもそんな中でタイムアタックを済ませていく面々の中で、誰も加賀のタイムに及ばない。どんどんと加賀の名前の下に増えていくだけだった。
「このままだと初戦ポールポジション、とれそうですが?!」
「まぁ、そうだといいんですけどね」
「すみません!あちらの女性は?!」
一気に記者の注目が雅に向いた。
「…え、私?」
「だそうだ」
「ち、ちょっと。関係なくない?」
「でも加賀はそう思ってないみたいだけど?」
そうフィルが言うが早いか、加賀は雅を見つめながらフッと笑う。
「…彼女ですか?クルーであり、俺の女神ですが何か?」
「恋人ですか?」
その質問にはっきりと答えなかったものの、その表情ではっきりと記者たちは気づいていた。
「…載るぞ?きっと。」
「え、マズくない?」
「どこがだよ。」
誰もが聞こえなかったものの、加賀は肯定していると思っている最中、カメラマンは誰も雅の写真を撮ろうとしていなかった。
そうこうしている間にもロベルトのアタックが始まるという状況に記者たちも加賀から離れていく。
「…さすが昨年チャンピオン相手には城もほっとかれるね」
「どうでもいい」
そう言い放つものの、じっとモニターを見ていた加賀だった。