第9章 敵陣
「それとごめん。上杉・武田側の人間だって言ってなくて」
佐助くんが頭を下げ、謝ってきた。私は慌てて頭を上げてと言う。
「佐助くんは謝ることなんて何一つないよ。敵側に仕えてるって事は前に話してくれてたし。‥こういうのはガツガツ言える事じゃないからね。それにもし、私が佐助くんの立場でも同じ事をしてたと思う」
「‥琴葉さん。‥ありがとう、君は優しいね」
「そんな事ないよ。責めたところで誰も悪くないんだし」
話しているうちに用意された天幕の前に着く。
「俺は明日も戦に出るから、琴葉さんを影ながら守るよ」
「え、大丈夫?自分の役目もあるんだし。無理しないでね」
「俺はちょっとすごい忍びだからこれくらい平気だ」
真顔だがドヤ顔をしているのが伝わってきて笑いが込み上げてくる。
「あははっ、佐助くんおもしろいね!じゃあ護衛、お願いするね」
「ああ、任せて」
お互いおやすみと言って、私は天幕の中に入った。
琴葉と別れて佐助は幸村のいる場所へ向かった。
「よー、佐助。‥琴葉やつ大丈夫だったか?」
「ああ、少し疲れた顔をしていたが元気そうだ」
「それは良かった。まさかあいつとこんな場所で再開するとはな」
武器の手入れをしながら、幸村はぽつりと言った。
「あいつとは安土の城下でよく会ってたから、戦とは無縁の奴だと思ってた。‥なんで来ちまったんだよ‥」
誰に対してでもなく怒る幸村を見て佐助は心の中で答えた。
「(それは彼女が信長に気に入られてるから、とは言えない。そうすれば琴葉さんだけじゃない、美桜さんいも危害が及ぶ。それだけは絶対にダメだ)」
「琴葉さんのことだ。なにか意味があってきているんだろう」
「美桜も元気にしてるかな‥‥あいつらは、あいつらだけでも、地獄を見ずに笑顔で過ごしてほしい」
信長に武田の故郷を奪われ幸村もその惨劇を見てきたからこそ言葉の重みが違う。
「彼女達が危険な目にあったら直ぐに助けよう。友人として」
「ああ、そうだな‥!」