第39章 苦しむ熱、寄り添う想い ※
だから、話した。
ヴィラン連合で何があったのか。
どんな扱いを受けたのか。
そして今、自分がどんな状態なのか。
言葉を選びながら、なるべく感情を乗せないように。
淡々と。
話し終えた頃には部屋が静まり返っていた。
マイクは何も言わない。
ただ、その表情だけが変わっていた。
驚き、怒り、そして。
どうしようもない後悔。
全部が混ざったような顔。
マ「……っ」
マイクは乱暴に髪をかき上げる。
今にも何かを壊しそうな顔だった。
けれど次の瞬間、強くを抱き寄せた。
壊れ物を扱うみたいに。
優しく。
それでいて離さないように。
マ「ごめんな……」
掠れた声だった。
は目を瞬かせる。
「……なんで、ひざしさんが謝るんですか」
マ「ごめんなァ……」
守れなかった。
気付いてやれなかった。
こんな話をさせてしまった。
そんな想いが滲んでいた。
は何も言わなかった。
代わりに、そっとマイクの背中へ腕を回す。
ぎゅっと抱き締め返した。
あの時のことを思い出す。
決して良い記憶ではない。
怖かった。
苦しかった。
嫌だった。
けれど、不思議と。
思い出すのは恐怖だけじゃなかった。
手の温度、ふとした優しさ。
敵であるはずなのに見せた人間らしさ。
理解したくはない。
許したいわけでもない。
それでも、あの場所で触れた感情は、簡単に憎しみだけへ塗り替えられるものではなかった。
マイクは、抱えているものを少しでも分けてほしいと願うように、抱きしめる腕に力を入れた。
その後、の髪にそっと口付けた。
マ「ちゃんと頼れよ」
低い声が耳元に落ちる。
マ「相澤だけじゃなくて。このことだけじゃなくて」
「…はい」
マ「約束な」
は小さく頷いた。
その返事を聞いて、マイクは満足そうに笑う。
本当は、もっと欲しかった。
もっと近くにいたかった。
特別になりたかった。
けれど、今はこれでいいと思った。
が笑っている。
それだけで十分だった。
マイクはそっと目を閉じる。
腕の中の温もりを確かめるように。
失わないように。
忘れないように。
静かに。
静かに。
抱き締めた。