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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第33章 試される力、届かない想い


バスの中は、試験を終えた安堵と高揚が混ざっていた。

疲れた顔で笑う生徒たち。
誰もが今日という一日を誇らしく思っていた。

は座席の間を歩きながら、生徒たち一人ひとりに声をかけていく。
その優しい声が、静かにバスの中を満たしていった。

相澤は一番前、窓際に座り、書類を片手に淡々と記録をつけている。
そんな相澤の隣に、がそっと腰を下ろした。

「…みんな、よく頑張りましたね」

相「そうだな。お前の顔見れば、それだけで安心するだろうよ」

「え?」

相「…生徒たちの話だ」

わずかに耳まで赤くなる相澤を見て、はふふっと小さく笑う。
車内の照明に照らされた横顔が、夕陽とは違う柔らかさを帯びていた。

その頃、少し離れた席で爆豪は黙ってイヤホンを耳に差し込んだ。
窓に映る自分の顔の向こうで、が笑っている。
その笑顔に触れられない距離が、たまらなく苦しかった。

仮免の合格者たちの声が遠くに聞こえる。
笑い声、喜び、全部が自分には刺のように痛かった。

拳を握る。
爪が掌に食い込むほど、力を込める。

爆(俺は落ちて…デクは受かった)

その事実は爆豪の胸を苦しくさせた。

昔から自分の背中にくっついてきていた。
無個性で、泣き虫で、なにも出来なかった奴なのに。
それなのに、そんな奴に負けた。

窓の外には、街の灯りが点々と流れていく。
爆豪は拳を開き、低く息を吐いた。

爆(絶対に負けねぇ)

視線の先で、が眠そうに目を細めていた。
その横顔を一瞬だけ見て、爆豪は顔を背ける。

爆(のために)

次に灯りが映る時、爆豪の瞳には決意の光が宿っていた。
バスは静かに走る。
それぞれの想いを乗せながら。

次の戦いへ向かって。
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