第31章 出会った男、不穏な気配
やがてナイトアイはゆっくり腕を離した。
手が、名残惜しそうにの肩に残る。
ナ「…もう奴には関わるな。約束してくれ」
「…はい」
ナイトアイの声には、いつもの冷静さよりも少しだけ熱があった。
その真剣さに、は素直に頷いた。
ナ「…さて、話を戻そう。今日は先生としてここに来たんだったね」
ようやくナイトアイの表情が和らぐ。
「はい!ミリオのことで」
は先日の授業で初めて会った通形のことを思い出していた。
通形の動きを見れば、どれだけ努力したのかがよく分かった。
努力の積み重ねが、動きひとつひとつに宿っている。
そしてその通形を、ナイトアイが鍛えたと聞いて居ても立ってもいられなかったのだ。
ナイトアイは目を細め、わずかに笑った。
ナ「彼は本当によくやっている。もう一年になるが、成長が著しいよ。今やプロ顔負けの動きだ」
「本当、相当努力したんですねミリオは」
ナイトアイは満足そうに頷く。
ナ「あぁ。ミリオはきっと、次の世代の希望になるだろう」
「そうですね!」
互いに微笑みを交わす。
その穏やかな空気が、雨上がりの静けさのように心地よかった。
だが次の瞬間、ナイトアイの目が再び真剣な色を帯びる。
ナ「話は少し戻って…、治崎の件だが」
の肩が小さく揺れた。
ナ「今色々捜査中ではあるが…もし何かあれば、プロヒーローたちに応援を要請することになる。関わるなとは言ったが…、そうなればもちろんもだ」
「はい」
ナ「その時は、頼んだぞ」
「もちろんです」
それからもう少しだけ話をして、は立ち上がった。
「今日はありがとうございました。会えて本当によかったです!」
ナ「私もだ」
静かに手を伸ばし、の頭を撫でる。
その仕草に懐かしさが滲んでいた。
ナ(本当に…立派になったな)
は小さく笑って会釈し、扉の向こうへ。
雨上がりの光が差し込む中、静かに事務所を後にした。