• テキストサイズ

【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第31章 出会った男、不穏な気配


ある休日。

は、ある場所へ向かうため、雄英から少し離れた街へ出ていた。
在来線を乗り継ぎ、目的の駅に到着する。

午後からの約束だったが、せっかくなら朝から行って、知らない街をぶらぶら歩きながら、適当なカフェでも見つけてゆっくりしよう。
そう思っていた。

駅を出て、特に目的もなく歩く。
天気は朝から曇り空だったが、雨の予報はなかったはず。
足取り軽く歩いていたその時、ぽつ、ぽつ……と頬に冷たい雫が落ちた。

「え、うそ…雨予報じゃなかったのに…!」

思わず空を見上げた瞬間、ぱらぱらと降り始めた雨があっという間に本降りへと変わる。
ざぁ――という音が、静かに街を包んでいた。
は傘を持っておらず、慌てて近くのアーケードへ駆け込もうと走り出す。

「わっ……!」

滑った足がタイルを踏み外し、思わず身体が前に傾く。
次の瞬間、何か固いもの――いや、誰かにぶつかった。

ドンッ

「っご、ごめんなさいっ……!」

雨の中でバランスを崩し、そのまま地面に転がる。
水たまりが服を濡らし、頬に冷たい滴が伝った。

すると、目の前に影が差す。
黒い傘の下から、無言で見下ろす一人の男。

珍しいマスクをしたその男は、ほんの一瞬、言葉を失った。
普段なら、こんな接触など耐えられない。
その辺の人間に触れるなど、ありえない話だ。
だが今は、違った。

の濡れた髪が頬に張りつき、瞳がまっすぐに男を見上げている。
その瞬間、胸の奥で何かがひどくざわめいた。

なぜだ?
この女からは、不快な感覚がしない。
むしろ……近づきたいと、思ってしまった。

理解できない衝動に突き動かされるように、
男はゆっくりと手袋を外した。

「……え?」

の視線がその動きを追う。
男はそんなこと気にも留めず、素手のまま手を差し出した。
/ 499ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp