第30章 抑えきれない嫉妬、理性の果て ※
車の中は、異様なほど静かだった。
エンジン音だけが一定のリズムで響き、は窓の外に目を向けたまま、何も言わなかった。
相澤の手はハンドルを強く握りしめている。
白く浮かぶ指の節が、そのまま相澤の感情を物語っていた。
沈黙のまま車は走り続け、気づけば雄英とは逆方向へと進んでいた。
「…あ、の……消太さん…」
相「なんだ」
短く、低い声。
その奥には、怒りと焦り、そして嫉妬が混ざっているように聞こえた。
はそれ以上何も言えず、唇を噛んだ。
やがて車は一つのホテルの前で停まった。
が息を呑むよりも早く、相澤が言う。
相「まだ完全に収まってないだろ」
「っ……」
反論しようとしても、言葉が出ない。
一度は無理矢理収めた症状。
どんなに気持ちが良くても、轟のあの1回ではまだ。
の体の奥の熱は完全に消えていなかった。
「……でも…我慢、できます」
相「嘘をつくな」
冷たく響いたその声に、言い訳の余地はなかった。
相澤は無言で車のドアを開け、の手を引いた。
抵抗する間もなく、2人はホテルの自動ドアをくぐる。
中には無機質な照明と、色とりどりの部屋の写真。
並ぶシャンプーや入浴剤。
は息を詰め、視線を落とした。
すぐにグイッと手を引かれ、エレベーターの前まで連れていかれた。
ホテルに入ってから無言の相澤。
も口を開けるはずがなく。
無言のまま、ドアが閉まり、機械音が上へと運んでいく。
緊張で喉が渇く。
何も言えないまま、は相澤の背中を見つめていた。
やがて目的の階に着き、ドアが開いた。
相澤が立ち止まった部屋の前のランプが淡く点滅していた。
相澤はためらいもなくドアを開け、中へと入る。
は小さく息を飲み、その背中を追った。