第21章 奪われる自由、歪んだ執着 ※※
静かな部屋にカツカツ、と2人の足音が響く。
ド「大きくなったのう、」
A「あぁ、大きく美しくなった」
AFOはすっとを抱き上げ、用意されていたある液体の入ったカプセルに沈める。
液体に沈むはまるで人魚のよう。
A「詳しく聞かせてもらおうか」
ド「定着液じゃ。これに3日間入れておく。すると先程受けた快楽が体に染み付く。そしてそれが忘れられなくなる。1週間に1~2回、禁断症状があらわれる。死柄木たちから離れられなくなる、そして死柄木たちもまた、を手放せなくなる。そこに愛…、歪んだ愛の執着や独占欲が産まれる。そしての個性が---------」
A「それは楽しみだね。弔も喜ぶだろう」
ド「今日、死柄木たちには我慢させた。3日後、あいつらが爆発するのも見ものだな」
A「ドクター、君イカれてるね」
ド「それはお互い様じゃろう」
の周りには、他にもいくつものカプセルが並べられていた。
部屋の中は緑がかった光に包まれ、低く唸る機械音だけが響いている。
液体の中に浮かぶ影──そのどれもが人の形をしているようで、どこか異様に歪んでいた。
まるで生まれる前の“何か”を育てているような、静かな狂気。
意識は朦朧としている。
体の奥がじりじりと焼けつくように熱い。
何かを求めているんだと、本能でわかった。
力を振り絞り少しだけ目をあけてみると、ガラスの向こうには、2つの影。
ひとりは白衣を着た小柄な老人。
その隣には、黒いコートを纏った男。
表情などはなにも見えないのに、視られているという圧だけで、心臓が凍りつく。
コートの男の声がうっすらと聞こえた瞬間、頭の奥で何かがざらりと揺れた。
懐かしいようで、嫌悪感を覚える音色。
だけどそれよりも。
遠く、光の中で先程の瞳を思い出す。
青く、冷たく、燃えるような色。
(燈矢くん…)
掠れた意識の中でその名を呼ぶと、熱が一気に上がった気がした。
液体の中で気泡が弾け、視界が白く濁る。
その瞬間、の世界は音も光も奪われ、ただ遠くで機械の心音だけが響いていた。