第18章 …隻眼ノ呪詛
小さな船医は、ハーデスの顔色が良くなったのを見て一安心しつつ、彼女に温かい茶を差し出した。
「これを飲めば、体の芯から温まるからな」
ハーデスは身を起こし、薬草茶を受け取る。
その優しい温かさは、彼女の心をも徐々に解して行った。
「チョッパーさん、ありがとう」
「いやあ、おれは医者だからそんなの当たり前だ……お礼なんて……嬉しくねえぞ、コノヤロー!」
そう言いつつ、チョッパーは嬉しさのあまり顔を真っ赤にして、体をフニャフニャとくねらせた。
その独特な照れ隠しにハーデスが柔らかな笑みを見せたので、ゾロもようやく一安心するのだった。
薬草茶に口を付けた彼女だったが、自分の荷物が見当たらない事に気付き、ゾロに訊ねる。
「あっ……そうだ。あの……ゾロ、私のバッグは何処に……」
「お前のバッグなら隣の部屋だ。おれが取って来てやる」
「あっ、すみません……ありがとう」
「だからよ……『すみません』は要らねえって」
ゾロは苦笑すると、立ち上がって部屋の襖を開けた。
隣の部屋に入ると、そこには何時の間にか仲間達が集まっていた。
皆の視線が、ゾロに集中する。
「おう、ゾロ! あの姉ちゃん……お前の知り合いなんだってな。ナミ達に聞いたぜ、おれ達の仲間……サニー号のクルーになったんだろ?」
フランキーはコーラを飲みながら、ゾロにそう訊いた。
その隣に胡座を掻いて座るジンベエも、豪快に笑いつつ言う。
「わしも新米クルーだからのう、同期の仲間が入って来たのは心強いわい」
「……んで、そいつもう起きてんだろ? 夕方からの宴には出られんのか? みんなでお祭りに繰り出そうぜ!」
皆、新しいクルーに会い、一緒に騒ぎたいのだろう。
喜ぶウソップの言葉を耳にしつつ、ゾロは部屋の隅に置かれているハーデスのバッグを手にすると、仲間達に向かって言った。
「城でやる宴には出れると思うが……祭りに出るのは無理だ」
「ええー、何だよー、みんなでお祭りで騒ぎたかったのによー……」
残念がるルフィに、ゾロは苦笑しながら静かに答える。
「あいつはまだ目ぇ覚めたばっかりで、体力が戻ってねえんだよ……お前等で楽しんで来い」
「ゾロ、あんたは行かないの?」
ナミの問い掛けに、剣豪は苦笑しつつ返答する。
