第7章 ・死皇帝
このコンスと言う少年の姿をした魔神は、恐らく同族の中でも非常に純粋で素直な存在なのだろう。
丁寧に頭を下げ、詫びる彼の表情には、悲しみの色が浮かんでいる。
ゾロは、彼の大袈裟にも見えるその謝罪から、微風の様な爽やかさを感じ取った。
「いや、だからいいって……そんな些細な事で、ルシファーは怒らねえだろ……それに、後で判る事だしな。しかし、ルシファーは、勿体振るの好きな奴だよなあ、本当によぉ……」
ゾロの言葉にコンスは苦笑しつつ、しかしその表情は、終始穏やかであった。
純粋で清々しい思念が、僅かな闇を通してゾロに伝わって行く。
それはコンスの中にある闇を遥かに超えた、強くも柔らかな月の光の様であった。
ゾロは、そんな彼が気に入った様である。
「何時か纏まった日にちが取れたら、お前の所に行くよ。その時は、エジプトの案内頼んだぜ……コンゴトモ、ヨロシク……な」
「本当ですか!?ありがとうございます!!お待ちしてますので、必ず来て下さいね!!」
「ああ、必ず」
ゾロとコンスは、その場で固い握手を交わし、再会を誓った。
コンスとの会話が終わっても、ゾロは大勢の魔王族に囲まれている有様だった。
彼はその騒ぎの中で、周りを取り囲む魔王族よりも少し離れた場所に、あのナホビノと人修羅を見付けた。
ルシファーとオセの言葉通り、ゾロは一目で彼等を『ナホビノ』と、そして『人修羅』と、認識したのである。
そして彼等もまた、ゾロを注視していた。
そんな中、ゾロとナホビノの、お互いの視線がぶつかる。
彼はゾロの目をしっかりと見詰めつつ、小さく会釈をした。
脚迄届く青く長い髪が印象的な、美少年。
その体から、二つの意識を感じ取る。
ゾロは、確信した。
(ああ、やっぱり、こいつは……)
『合一神』……人造魔神アオガミと、その知恵である人間の少年が融合し『神』となった、嘗ては禁忌とされた存在。
現在は、世界を治める魔神であり、また、王として君臨する存在である。
ゾロが声を掛けようとしたその時、上座の方から威厳に満ちた声が、大広間に響いた。
「……さて、皆々様。そろそろお時間ですので、ご着席を。閣下、どうぞお席へ」
「うん。ルキフグス、何時も案内をありがとう。さて……始めるとしようか。ルキフグス、君もどうぞ着席を」