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魔王之死刀

第7章 ・死皇帝


「ははっ……では、仰せの通りに」

 ルシファーに『ルキフグス』と呼ばれた者は丁寧に会釈すると、上座横に着席した。
 その時、大広間の扉が閉じられ、その横に護衛隊が即座に整列する。
 ルシファーは上座に着席する前に、傍にいたゾロの大きな背中を、ポンポン、と二度叩く。

「ゾロ、君の席は僕の隣だ。さあ、座って座って」

「え?あ、ああ……」

 ゾロは多少戸惑いつつ、言われるがままに移動を始めた。

(ナホビノ……また後でな)

 ゾロはナホビノに向かってニヤリと笑うと、彼も笑みを浮かべて頷いた。
 そんな訳で、ゾロは少し遅れて指定された席に着いた。
 ルシファーは、横に座る彼を見ると満足そうに微笑みつつ、彼の隣に着席しルキフグスに声を掛ける。

「議長、どうぞ」

 大魔王に『議長』と呼ばれたルキフグスはその場に立ち、大広間にいる者達に軽く会釈すると、大きな咳払いを一つしてから、声高らかに開会を宣言した。

「……それではここに、第四回魔王族定例会議の開催を宣言致します。本日の議題は……閣下、お願い致します」

 ルキフグスは、そう言ってルシファーに頭を下げ、着席した。
 会場内が、一瞬ざわめく。

「おお、閣下自らお伝えになられるとは」

「……やはり。あの件であろうな……」

 魔王達の視線が、一斉にゾロに注がれる。
 あの、ナホビノと人修羅も、その例外ではなかった。
 薄々判っていた事とは言え、何十柱と言う魔王族や護衛の者達から、一斉に注目されているのである。
 流石のゾロも、少し後ろに仰け反ってしまう程であった。

(いやいや……みんなおれに注目し過ぎだろ、おい……)

 ゾロは眉間に皺を寄せると、自分に注がれる視線から目を逸らす様に、少し離れた床に目を遣った。
 するとそこに、可愛らしく、ちょこん、と座って彼を見ている一匹の黒猫の姿があった。
 緑色のつぶらな瞳に、ゾロの姿が小さく映っている。
 
(……こいつ……只の猫じゃねえ……)

 黒猫と目が合った瞬間、ゾロは、直感でそう判断した。
 さて、円卓の上座からは、大魔王が立ち上がり、第一声を発するところであった。
 大広間は、先程と打って変わって、異様な程の静けさに包まれている。
 円卓を囲む魔王達は一様に沈黙し、その眼差しは上座へと注がれている。
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