• テキストサイズ

【ヒロアカ】re:Hero

第7章 君に負けたくない


お昼休憩。
騎馬戦で燃えたスタジアムの熱気が嘘みたいに、食堂の一角は穏やかだった。

『ふぅー……やっと落ち着いた……』

ほんのり塩の効いたおにぎりと、やさしい甘さの玉子焼き。
隣ではお茶子ちゃんが「美味しい?」と笑って、
緑谷くんはいつも通り、もそもそ口を動かしてる。

いつもの、ほっとするランチタイム。

……の、はずだった。

「あの、A組の子だよね? さっきの騎馬戦、凄かった!」

『えっ? あ、ありがとう……?』

背後から声をかけられて振り返ると、制服は雄英だけど、見覚えのない男子たち。
どうやら普通科や他クラスの生徒らしい。

「てか、名前なんていうの? なんかさ、見た目めっちゃ変わってない?」

「正直……可愛すぎてビビった」

『えっ!?』

突然囲まれて、おにぎりを落としかける。

「午後の個人戦も見てるからさ、頑張ってね!」

『あ、うん、ありがとう……?』

緑谷くんが、ぴたりと箸を止めた。

その横で、お茶子ちゃんと三奈ちゃんが小声で笑ってる。
「モテ期きたね〜」「こりゃ嵐だわ〜」

……と、そこへ。

「想花ちゃん、だよね? 騎馬戦、マジ惚れた」

『え? あの……』

「オレ、三年。後輩にこんなタイプいるなんてな〜」

そう言ってしゃがみこみ、私の目線まで下がる彼。
ニヤッと笑い、手を伸ばしてきた、その瞬間――

『……え?』

……ほっぺたに届く寸前で。

「……どけ」
「やめろ」

低く鋭い声が、ふたつ。

ドンッと割って入るように、爆豪くんと轟くんが現れた。

爆豪くんはその手をはたき落とし、
轟くんは静かに、男の肩へ手を置いて言った。

「先輩だろ。……節度、持って」

「っ……」

空気が、一気に張り詰めた。

先輩はばつが悪そうに「……悪ぃ」と言い残し、足早に去っていく。

私の隣に座り直した爆豪くんは、水を一気に飲み干して、ぼそっと言った。

「……チッ。調子乗りやがって」

轟くんは黙ったまま、でもずっと私を見てる。
その目は、何かを言いたそうで――でも言わない。

『……ありがと。助かった』

ふたりとも何も返さないけど――

その横顔が、ほんの少しだけ、赤くなってる気がした。
/ 664ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp