第7章 君に負けたくない
轟くんの氷、飯田くんの加速、八百万さんのサポート、上鳴くんの電撃。
……完璧だった。
私たちは、残り1分を切ったところで――ついに守ってきた1000万ポイントのハチマキを奪われた。
『っ……!緑谷くん!!』
振り返った時にはもう遅く、飯田くんの加速が残した風だけが背中を通り抜けていた。
爆豪くんの怒鳴り声、観客席の悲鳴と歓声。
その中で――緑谷くんの顔だけが、真っ白だった。
「ごめん、みんな……俺のせいで……!」
それでも、走る。
諦めるわけにはいかなかった。
次こそ、取り返すんだと――何度も攻防を繰り返して……
ラスト10秒。
緑谷くんは、別のチームから70ポイントを奪った。
『……あと少し…!』
彼の手が再び伸びる。
狙うのは、轟くんの頭に巻かれたハチマキ。
けれど――届かない。
そして、終了の鐘が鳴った。
緑谷くんは静かに顔を伏せる。
「…ごめん、僕……4位以内に入れなかった」
しんと静まる空気。
背中を向けたその彼の後ろで――
『…ふふ』
「……甘いな、緑谷」
私と常闇くんが、同時に笑っていた。
振り返った彼の目に映ったのは――
黒影が掲げる、奪ったばかりのハチマキ2本。
“615”と“490”、確かにその数字が刻まれていた。
『ねえ、最後まで信じてよ。私たち、ちゃんと動いてたんだよ?』
常闇くんが静かに補足する。
「……轟の視線が緑谷に集中した瞬間があった。背後ががら空きだった」
『だから、こっそり個性でね』
お茶子ちゃんがぷくっと膨れて言う。
「も〜〜〜!緑谷くん、信じてなかったのぉ〜!?」
プレゼントマイク「なんとなんとなんとォ〜〜〜!?!?緑谷チーム!!ラスト10秒で2本のハチマキ奪取してたァァァァ!?!?
こ、これで合計1175ポイントだァァァ!!!」
相澤先生「ギリギリで他チームを見極めていたな。…連携も悪くなかった」
緑谷くんはしばらく呆然としていたけれど――
やがて、潤んだ目でハチマキを抱きしめる。
「……っ、ありがとう!本当に……ありがとう!」
そして私たちは、4人で掌を重ねた。
プレゼントマイク「ということでッ!!騎馬戦の勝者は……轟チームーーーッ!!」
観客席が、歓声で揺れる。
悔しさと、笑顔と、涙。
そのすべてが混ざった中――
たしかに、私たちの“絆”はそこにあった。
