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【ヒロアカ】re:Hero

第21章 君に贈る、ひとときの奇跡


玄関口に集まる、1-Aの仲間たち。
そのひとりひとりが、想花に近づくたび、言葉にならない感情がこみ上げていた。

「ほんとに……帰ってきたんだよね……」
お茶子が、にじんだ目元を指でぬぐいながら、そっと微笑む。
「夢かと思ったもん、こんなん……!」

梅雨は静かに見つめていたけれど、その瞳は何より雄弁で。
耳元に触れる髪をそっと払ってから、ひとことだけ、「おかえり」と囁いた。

「なんで何も言わなかったんだよ……!」
切島が低く、でも優しい声で言う。
「心配したんだぞ……マジで……!」

八百万は胸に手を当て、涙が止まらないのをごまかすように深呼吸していた。

「……っく……私、ほんとに……!」
耳郎は声にならない想いを抱えて、彼女の袖をぎゅっと掴んだ。

そして──緑谷が、そっと歩み寄る。
「想花さん、ほんとによかった……」
微笑むその表情は、あの戦場で彼女を見つけたときの面影そのままだった。

「辛かったら、言って。僕たち、聞くから」

その言葉に、想花の瞳がふるえる。

──そんな彼女の前に、もうひとりの影が飛び込んだ。

「……ばか、想花のばかばか……!」

芦戸だった。

瞳に涙をいっぱいためながら、それでも笑ってみせて、
走り寄ってそのまま、彼女をぎゅっと抱きしめる。

「ずっと待ってたんだから……!」

その一言で、想花の張っていた糸が、ぷつんと切れた。

『……ごめんね……っ』

声にならない声と一緒に、彼女の目からぽろぽろと涙がこぼれた。

周りからあふれる、あたたかい言葉。
声にならない想い。
あの夜、ひとりで泣いた時間のぶんだけ、優しさが溢れていく。

──こんなにも、自分は誰かに待たれていたんだ。

『……っ、う、……』

堰を切ったように、もう一度涙があふれた。

今度はひとりじゃない。
自分を包むこの空間ごと、心が震える。

「おかえり、想花!」

誰かの声が、そう叫んだ。

その瞬間、爆発するように笑いと涙が広がる。

『……ただいま……』

震える声でも、言えた。
今度は、胸を張って。

そうして彼女は、皆に囲まれながら、
ようやく“帰ってきた”ことを実感した──
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