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【ヒロアカ】re:Hero

第21章 君に贈る、ひとときの奇跡


1-Aside

リビングは、笑い声と音楽に包まれていた。
白い雪が窓の外に降る夜、1-A寮の中では小さなクリスマスパーティーが開かれている。

キラキラの飾りつけ、机いっぱいのごちそう。
煌めくツリーの下では、峰田や芦戸たちがゲームに盛り上がり、
切島と上鳴がトナカイの角をつけて追いかけっこを始め、蛙水や八百万が呆れながらも笑っていた。

耳には定番のクリスマスソング。
ストーブの上ではホットチョコが温められ、穏やかな熱気が漂っている。

「やっぱ冬はこれっしょ〜!」
「芦戸さん、ケーキ多すぎだってば!」
「デクくん、サンタ帽反対やん……」

そんな賑やかさの中、突然──
カチャリ、と玄関の扉が開く音が響いた。

「ん? だれか帰ってきた?」

お茶子が首を傾げ、轟がさりげなく視線を向ける。

すると、扉の向こうから、見慣れた黒いコート姿の男が現れた。

「あ、先生……!」

相澤だった。
一瞬、空気がゆるりと引き締まり──だがそのすぐあと。

「壊理ちゃん……!!」

誰かが声を上げた。

先生の背中から、ふわりと飛び出すようにして現れたのは、
サンタの赤いワンピースに身を包んだ壊理ちゃんだった。

帽子のポンポンが揺れて、雪より白い髪がふわりと舞う。

「わぁ〜っ! かわいいっ!!」
「なにそれ似合いすぎ!!」
「壊理ちゃ〜ん!」

一斉に、みんなが笑顔で駆け寄った。
壊理ちゃんも、少し恥ずかしそうに笑っている。

けれど──その小さな手。
その手が、誰かの手を引いていることに気づいたのは、ほんの数秒後だった。

玄関の影から、そっと顔を出したのは──

あまりに懐かしくて、
あまりに見たくて、
けれど、どこか遠くへ消えてしまったはずの──

「…………想花、さん?」

緑谷の声が、まるで時間を止めたように響いた。

楽しげな音楽も、ケーキの匂いも、みんなの笑顔も。
その一瞬だけ、まるで凍りついたみたいに、静まり返った。

目を見開いたまま、誰もが言葉を失っていた。

玄関に立っていたのは、数ヶ月前、何も言わずに姿を消したはずの彼女──
想花だった。

壊理ちゃんの手を握ったまま、彼女はゆっくりと視線をあげる。
みんなの顔が、そこにあった。

そして──

『……ただいま』

かすれた声が、静けさを溶かした。
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