第21章 君に贈る、ひとときの奇跡
ホークスside
まばらに飾りつけられた廊下を、ゆっくり歩く。
灯りは薄暗く、窓の外には雪。
……今日が、イブなんだってさ。
壁に背中を預け、誰にも気づかれないような足取りで、山荘の奥へ。
目的は――あの子。
少しでも、たった一目でも、彼女の姿をこの目で確かめたくて。
でも。
「――おーいトゥワイス!それ、割れたら終わりだぞぉ!」
少し開けたラウンジの奥、
派手な笑い声と、紙袋をぶら下げた手が見えた。
トゥワイスが、床に座って何かを手際悪く包んでる。
いや、あれは……空き缶とリボンか?
何をしてるかはわからないが、とにかく楽しそうだった。
「……何してんすか?」
自然なふうに声をかけると、
トゥワイスがビクッとしたあと、顔を上げてにやっと笑った。
「おー、ホークス〜!なんだなんだ、お前もパーティ参加か!?」
「じゃねーよな!?でもその顔は、なんか…探してる顔だな!なあ!?違うか!?」
「探してないよ。……ただ、歩いてただけっす」
「へへ〜ん、まぁいいや!今日はな、クリパなんだよ!クリスマスパーリィ!」
「みんなでやろーぜってなって、準備中! 俺は飾り担当!手作り!偉い俺!!」
「へえ。盛り上がってるみたいっすね」
「でさでさ、あのカゼヨミとコンプレスがケーキ買いに行ったんだよ!」
「おつかいペア!リア充ペア!?ちげーか!?たぶんちげーな!!」
「……そっか」
探してもいないわけだ。
群訝山荘には、今。
少し胸が詰まる。
でも、その感情はすぐ飲み込んで。
「パーティ、楽しんでくださいよ」
「おうよ!!お前も来いよ!?帽子あるぞ!サンタの!!」
「いや似合うかな!?でもやっぱ似合うだろホークスだし!!」
「……考えときます」
冗談みたいに言って、
トゥワイスの笑い声を背に、俺はそっとその場を離れた。
──群訝の廊下は、少し寒い。
でも、あの子が今どこかで笑ってるなら。
俺が今ここにいる意味も、まだあると思えた。