第12章 期末テスト
翌日の放課後の図書室。
夕焼けが窓から差し込み、静けさが空間を満たしていた。
は机に教科書とプリントを広げ、鉛筆を握っている。
その隣には相澤。
腕を組んだまま、無言で椅子に深く座り、の手元を時折ちらりと覗き込んでいた。
(先生、隣にいるだけで緊張する…)
シャッ、と鉛筆の音。
“日本の三大産地を答えよ”
(えーと、瀬戸内と、あと…えーと…)
ペンが止まる。
相「……迷う前に、メモを出せ」
「……!」
言われるまでもなく、は急いで地図帳を開く。
相「思い出せない時は、ちゃんと調べろ。それも勉強だ」
「……はい」
パラパラとページをめくり、正解を探す。
相「考えるのはいい。だが、考えた結果止まるなら意味がない」
「……わかりました」
再び手を動かし、問題を解く。
30分ほど経った頃、はふと手を止め、溜息をついた。
「……先生、私……これ、全部理解するまでにどれだけかかるんでしょうか」
相「知るか」
あっさりとした返事。
「……ですよね」
それでも、は肩を落としつつも、もう一度ノートを開いた。
相「だが」
「?」
相「今日の分は、昨日より早く解けていたり、丸が1つでも増えていたり、小さくてもそういう進歩がだあるはずだ」
「…確かに」
相「そういうもんだ。焦るな」
ぽん、と軽くノートの端を指で叩く。
は目を丸くしたあと、ふっと笑みをこぼした。
「……はい」
そしてまた、鉛筆を走らせる。
相澤は、それを見守るように目を閉じた。
静かな図書室に、再びページをめくる音と、鉛筆の走る音だけが響いていた。