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すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~

第20章 残酷な朝


凜桜がふと目を覚ました時には瀬乃はすでにシャツを着こみ始めていた。

「…おはよう…」
「おはようございます…」
「起きた?」
「…はい…」

振り返った彼の表情は夜の名残を一切感じさせない程に静かだった。

「体、きつくない?」

その小さくも確かな問いかけが昨夜のことを一気に胸に迫ってくる。返事に詰まる凜桜に瀬乃はあえてそれ以上求めなかった。
ベッドの端にゆっくりと腰を下ろし、少しだけ視線を落としていく。

「後悔はさせるつもりはないよ」

低くもはっきりとしたその声…

「少なくとも、昨夜の選択を間違いだったとは思わせないから」

約束の様にも見えながらも、責任を負い過ぎない距離を保った言葉…凜桜はただ何も言えずに俯くしかできなかった。ただ、それで満足したように…瀬乃は柔らかく微笑んでいた。最後まで凜桜の居場所を壊すことはしないまま…その距離を保っていた。

幸いにも日曜だったこともあり、凜桜はそのまま住吉の居るであろう家に戻っていく。

「…帰ったか」
「…ッ済みません…こんな時間になって…」
「こんな時間も何も朝帰りだが?」
「…ッ」
「遅くなるにも…」

そこまで言いかけて住吉は言葉を飲み込んだ。

「…いや、別に…問題は無い」
「住吉さん…その…」
「ただ、次からは泊るなら泊ると言ってくれたら助かるがな」

しかしその言葉の後に隣をすれ違う時だ。ふわりと住吉の鼻をかすめたのは知らない男の香りだった。

「…ッ」
「今日中に、昨日のまとめ…ッ」

トン…っと壁に手を付いて凜桜の行く手を阻んだ住吉。

「…あの…住吉さん…?」
「こっちじゃねぇ」
「え?」
「風呂、入ってこい」

そう言えば顎で浴室を指示した。

「あ、…の…」
「それからでも遅くねぇだろ」

そう言ってすっと手を引いた。そのままキッチンに向えば水を一杯飲みほした住吉。髪をかき上げ、何かをそれ以上言うわけでもないままに凜桜はただ、それに従う他無くなっていた。
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