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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第30章 「善意の逆理 Ⅲ」


「嘘……動か、ないっ」



真澄が術式を行使するが、水をたっぷり吸い込んだコンクリートは、鋭い刃に再構築されることはなかった。



「真澄ちゃん、ごめんっ!」



床を蹴り、が真澄の懐へ滑り込む。
小太刀の柄で、真澄のみぞおちを思い切り打ち据えた。



「が、はっ……!」



真澄の身体が、くの字に折れ曲がって大きく体勢を崩す。
私も距離を詰め、真澄のセーラー服の胸ぐらを乱暴に掴み上げて、真澄の頬を叩いた。

乾いた音と共に、真澄の顔が横へ弾かれる。
叩いた手のひらが、じんじんと熱い。



「千尋のため? 復讐? 笑わせんじゃないわよ」

「そんな顔して、こんなことして、あんたが一番救われてないじゃない」



真澄は叩かれた頬を押さえることもせず、私から視線を逸らしていた。


呪術師として、何をしなきゃいけないのかも分かってる。
だけど、私は伏黒みたいに、物分かりよく冷静ぶってなんかいられない。



「……なんで言わなかったのよ」

「……」

「私、あんたの友達だったんじゃないの」



胸ぐらを掴んでいた手をゆっくりと離すと、真澄はその場に崩れるように膝をつく。
濡れた屋上の床に、白いスカートの裾が沈んだ。



「……千尋も、友達だった」



真澄の声は、ひどく小さかった。
その時、ぽたっと水とは違うものが落ちる。
涙が真澄の頬を伝っていた。



「千尋はね……この学校に入って、初めてできた友達だったの」

「私、転入してきたばっかりの時、誰とも話せなくて。みんな、もうグループができてて」

「教室にいても、ずっと一人だった。誰も私に興味がないみたいに私を見てなかった」

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