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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第30章 「善意の逆理 Ⅲ」


翌日、医務室に行くと、はベッドの上で上半身を起こしていた。
顔色はまだ少し悪いけれど、思っていたよりは元気そうに見える。



「お見舞いに来てあげたわよ」

「野薔薇ちゃん……!」

「なによ、その顔。そんなに嬉しい?」

「うん。嬉しい」

「素直か」



思わず突っ込むと、はふふっと小さく笑った。
ベッド脇の椅子に腰を下ろしながら、私は持ってきた紙袋を膝の上に置く。



「はい、差し入れ」

「えっ、いいの?」

「いいの。病人は黙って受け取りなさい」

「ありがとう、野薔薇ちゃん」



は紙袋を受け取って、中を覗き込んだ。
ぱあっと、彼女の顔が明るくなる。



「わーっ、これ……!」

「ふふん。驚いた?」

「うん! これ、テレビで見たやつだ! いつも行列ができてる有名なケーキ屋さんのだよね……?」

「そう。そこのミルクレープ。あんた、甘いもの好きでしょ」



本当は、任務の帰りにわざわざ並んで買ってきた。
でも、そんな恩着せがましいことは言わない。

は箱を大事そうに抱えて、弾んだ声を上げた。



「ありがとう、野薔薇ちゃん! すっごく嬉しい!」



そこまで喜ばれたら、わざわざ並んだ甲斐があったってもんじゃない。
この子のこういうところが、先生もたまんないのかしら。


がキラキラした目で見てくるから。
なんだか照れくさくて、わざと視線を外した。



「べ、別に。私が食べたかったついでに買ってきただけだから。感謝しなさいよね」

「ふふっ。一緒に食べよ?」

「当たり前でしょ。フォークも二つもらってきたわよ」



箱を開けて、二人でミルクレープをつつく。
層になったクレープと甘いクリームが、口の中で溶けた。
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