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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第21章 「可惜夜に眠る 前編**」


それからきっかり二時間後。



「っしゃあぁぁぁ!! 終わったぁぁぁ!!」

「肉だ! メロンだ! 海だー!!」



虎杖くんと野薔薇ちゃんの雄叫びが、山にこだました。
あのボロ演習場が、みんなの執念によって、見違えるほどピカピカに磨き上げられていた。
私も雑巾が真っ黒になるまで無心で床や窓をを磨き続け、今はもうクタクタだ。


(訓練より……大変だったかも)

(おかげで、先生のことを考えずに済んだけど……)



「せんせー、掃除終わったよ」



虎杖くんが、縁側にいる先生に声をかける。
視線の先では、先生がアイスを片手にスマホをいじっていた。



「ん、お疲れ!」



そう言って、親指を立てた。



「……あ、あの野郎」

「俺らが埃まみれになってる間に……」



真希さんと伏黒くんのこめかみに、同時に青筋が浮かんだのが見えた。
野薔薇ちゃんは、真っ黒な雑巾を握りしめたまま、ぷるぷる震えている。


みんなの殺気立つ空気なんて気にも留めず、先生は軽やかに立ち上がる。



「みんな優秀優秀。さすが、僕の生徒たち」

「じゃあ約束通り――海、行こっか!」



先生は爽やかに笑うけれど、誰もすぐには動かなかった。
全員、まだ先生への怒りが収まっていないようだ。
張り詰めた沈黙が流れる。


……でも。



「……A5ランクの肉」

「……高級メロン」



誰かがボソッと呟いた、その一言が決定打だった。



「食べてやるわよっ……! 元取るまで食べてやるんだから!」

「……行きますよ。腹は減ってるんで」



野薔薇ちゃんが吐き捨てるように言い、伏黒くんも深いため息をついて歩き出した。


怒りよりも、空腹と海への期待が勝ったらしい。
全員が荷物を抱えて、再びバスへとなだれ込んだ。
さっきまでの疲れなんて、微塵も感じさせないスピードだ。


気づいたときには、私以外の全員がすでにバスへ向かっていた。



「あっ、待って……!」
 


私も慌てて荷物を抱え直し、その後を追いかけた。
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