第5章 《1部/前編4/5話/3P》10 11 12
〈第1章 子供時代編〉【11 ゴジの優しさ】
〈04/10話│2(1/2)/3P│1500字〉
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サンジに別れを告げて、棟の入り口でがまんの限界がきて泣き崩れた夜から数日後のこと。
その日はいつもと違った。なぜか朝からゴジが私の部屋を訪ねているのだ。
「どうしたの?ここにあなたがくるなんてめずらしい。なにかくんれんのへんこう?」
「ちがう」
「じゃ、なに?」
子供には大きなソファに座るゴジの向かい側の一人掛のソファに座ってじっとながめてみる。
ゴジ───この少年とは双子として産まれたけれども、一番身近に感じていたのは赤ちゃんの頃だろう。
今は部屋はべつで、訓練中も生活範囲でも私達がセットで扱われることはほとんどない。だけれどサンジを庇ったりしていた時なんかは、兄達のように私に暴力を振るったり、暴言を吐いたりはしなかった。
(それを止めたりもしなかったので、単純に私に興味が無いのかと思っていたんだよね。だからそんな彼が私を訪ねて来るなんてことは前代未聞の事件だよ)
だもんで『なに?』と首をかしげてしまう。
「……これ。つかえ」
「ん?」
渡されたのはスーパーアイシクルシート(仮)だった。
いわゆる[科学王国ジェルマ]の技術で作られてる冷却パックみたいな───[ホールケーキアイランド編]で[レイジュ]が[サンジ]に使わせたあのジェル。
ファン歓喜物のマスクを差し出されてる。
「……?」
「かがみ、みてないのか?ひどいかおしてる」
「え、あ…、そんなひどくは……だ、だってべつになにもいわれないし…」
恐らく『ひどい顔』と言われてるのは腫れぼったくなっているまぶたのこと。それは分かってるのだが。
(色んな瞬間ですぐに泣けるから回復能力も面倒で使わなかったんだよね。レイジュさん以外の人には、特に突っ込まれなかったから、てっきり大丈夫なんだと思ってた。もしかしてイチジ達も言わなかっただけなの?)
「あ─────………」
「ばかじゃん?」と言って天を仰いでる私の顔にマスクを貼ってくれたので、目を閉じた。
「しみるけど、きもちいい……」
自分では『大丈夫』と判断していたまぶたもやっぱり腫れてたみたいで、冷たいジェルがスーっと染み込んでいく。
(めちゃめちゃ気持ちいい…………)
