第1章 悪霊がいっぱい!?
「……お言葉はありがたいのですが、残念です。僕は鏡を見慣れてるもので」
その言葉に結衣と麻衣と法生は吹き出してしまい、爆笑を始める。
ナルになかなかの言葉を言われた綾子は、呆然と立ち尽くしているだけだった。
「リン、撤収を始める」
ナルの言葉に、三人は『あれ?』という表情を浮かべた。
「引き上げないんですか?」
「あ、そっか。なーんかたいした事件じゃなかったわねぇ」
「……のワリにゃビビってなかったか?」
「冗談!やめてよね」
呆気ない最後に結衣は瞬きを数回繰り返した。
(そうだ、事件が解決したのならそれで終わり。当たり前のことなんだけど……)
なんだ寂しい。
そんな気持ちが結衣の中に生まれてきた。
だが怖い思いも済むわけだから、おしまいなのだから良いのだと自分に言い聞かせる。
「……麻衣と結衣は授業に出なくていいのか?」
一同は解散して、黒田も教室に戻る中で双子だけがその場に残っていた。
「んー?……うん、今日はいいやもう」
「授業受ける気がないや」
「もう少し利口になる努力をしたほうがいいんじゃないか?」
その言葉に双子はイラッとする。
最後になるのにその言葉しか出てこないのかと、結衣は拳をグーにしながら怒りを堪えた。
(ちょっとの間とはいえ、あたしと麻衣は助手だったんだけど!?)
なにか他に言うことがあるだろう。
そう思いながら怒りを収めていれば、ナルが双子の方を振り返った。
「授業に出ないなら撤収を手伝ってくれ」
出る言葉はそれだけか。
結衣は肩を下げながらも、麻衣と共に実験室の機材を片付けたり車に運んだりと作業を進めた。
「あ、それ最後?」
「ああ。もう教室に戻っていいぞ」
「……うん……。あ、み、見送りしようか。やっぱり短い間とはいえボスだったし……」
「必要ない。それより授業に戻ったらどうだ?それ以上バカになったら手がつけられないぞ」
「……あ、あーそうですか!わかりました!せいぜいオリコウになる努力をします!そんじゃさよならっ!行こう、結衣!」
「あ、うん。じゃあね、ナル」
麻衣は怒りながら早足で歩き出し、結衣はそんな妹に溜息を吐き出した。