第9章 忘れられた子どもたち
「一階の廊下。ふらふらと動き回ってるのも見えるよ」
「それから?」
「「……それから?」」
「他には?」
ナルの言葉に首をかしげながら、あたし達は辺りを見渡した。
すぐ間近にピンク色の光が見えて、よく見るとそこにはあたしと麻衣が座り込んでいるのが見える。
「ほんとに身体から抜けでてるんだ……」
「凄いや……。あ……」
隣の教室が透けて見えた。
そこには薄らと赤い光が見えて、その中にはぼーさんの姿があった。
「ぼーさん……」
壁に寄りかかっている彼は考え込んでいるように見えた。
「生きてるの……?」
「──もしかして、ぼーさんにとって消えたのはあたしや麻衣とナルのほうなんだ。みんなもそう?ジョンや真砂子……安原さんに綾子とリンさんも?」
「そうだよ、たぶんね」
「みんな……」
ふと、下を見て目を見張った。
一階の玄関部分が透けて見てて、そこには人影が無数にある。
「麻衣、見て……下」
「え……あっ!」
一階には壁にもたれかかって座っている安原さんとナルと、歩き回っている真砂子。
そして何かを唱えながら歩いているジョンの姿があった。
廊下では綾子とリンさんがいる。
綾子は奥から歩いてきて、リンさんは奥へと歩いていく。
ぶつかりそうと思った時、二人は重なるようにすれ違った。
「あれ……」
「なんで……」
「みんなここにいる。だけどお互いの存在が分からない」
「そうなんだ……」
だから、みんなおかしいと思ったんだ。
一緒にいるのにバラバラ二なってるみたいだったから。
「よかった……」
麻衣はその場にしゃがみ、あたしは息を吐き出す。
そして目からは涙が溢れた。
「みんな、無事なんだ……」
「……これからあたし達どうすればいい?」
良かったと安堵をしていれば、ナルがあとしと麻衣の肩に手を置いた。
「もうそろそろ、二人とも一人で出来るようになってもいいね」
「……聞いちゃダメってこと?」
「そうじゃない。──もう落ち着いた?」
「……うん」
「落ち着いた」
「ここはまだ暫くは安全だ。だから安心してもう一度やってごらん。ぼくにひっぱり出されるんじゃなくて、二人とも自分で出てくるんだ」
ナルの言葉に、あたしと麻衣は戸惑う。