第9章 忘れられた子どもたち
「結衣、手繋ごう」
「うん」
麻衣と手を繋ぎながら、壁に背中を当ててから体育座りしながら目を閉ざす。
眠らなければ、眠らなければと自分に言い聞かせるがなかなか寝れることが出来ない。
(リラックスしなきゃ、眠れないならできるだけ眠ったような状態にしなきゃ……)
そう言い聞かせるが、なかなか眠りにつけない。
震えてしまっていてリラックスすることが出来ないのだ。
「──羊が一匹、羊が二匹……」
麻衣がそう呟きながら、あたしの手を強く握ってくる。
その手がかなり震えていて、落ち着かせるために強く握りしめた。
「お願い、落ち着いて……!」
「お願い!」
心音がうるさいぐらい響いている。
それが煩わしく思えた時、瞼の向こうで何かが光ったような気がした。
なんだろう。
そう思って目を開ければ、無数の赤い光があたしと麻衣を囲んでいた。
「この光……見たことある」
「うん……ぼーさんの色だ……」
赤い光はぼーさんが封じたあとだ。
あたしは無意識にその光へと手を伸ばしてから、ぼーさんの笑顔を思い浮かべた。
「すごい……綺麗……」
「うん……綺麗だね」
涙が溢れてしまいそうだ。
ちゃんと守ってもらってるんだと思いながら、あたしは微笑んだ。
ふと、違う場所から白い光が見えた。
足元の更に下のほうに、奥底に白い光が輝いている。
「リンさんだ。一階の影壁貼ったリンさんの護符の光だよ、麻衣」
「うん……」
階段の下には光が見えない。
「あ……階段の影壁の護符剥がれちゃったのかも」
「そうだ……あのとき影壁が倒れた時に護符を確認してなかったね……」
「うん。それで真砂子は二階に消えたんだ」
「──そう」
声が聞こえた。
その声に驚いて振り返ると、そこには柔らかい微笑みを浮かべているナルがいた。
「……良かった。ちゃんと眠れたんだ」
「もう、誰もいないの」
あたしと麻衣が不安げにしていれば、ナルが一箇所を指さした。
「よくみてごらん」
壁を指さしている。
すると指をさされた壁がゆっくりと透けていき、いくつもの光が見えた。
「一階の控え室にたくさん鬼火が集まってる……」
「あんなにたくさん……」
「うん。今はあそこにいる。他に見える?」