第9章 忘れられた子どもたち
「……でも、どうやって除霊するの?」
「ぼくか麻衣か結衣、三人の誰かがやるしかないな」
その言葉にあたしと麻衣は目を見張る。
ナルがするということは気功を使わせることになってしまう。
それだけはダメである。
「……ナルはダメだよ!」
「そうだよ!」
「じゃあ、麻衣と結衣がやってみるか?」
「あ、あたしと結衣に出来ると思う……?」
「除霊は厳しいと思う」
はっきりと言われて、あたしと麻衣はがっくりとその場に倒れ込みそうになる。
だがナルの言う通り、あとしと麻衣では除霊はかなり厳しいと思う。
「説得してくれ」
「──え?」
「説得?」
「桐島を説得するんだ。ぼくは霊と意思の疎通ができない。麻衣と結衣なら出来る可能性がある」
その言葉に目頭が熱くなる。
いつもあたしは皆に助けて貰ってばかりだけど、次はあたしが皆を助けられるだろうかと不安にもなった。
「あ、あたし達で出来るかな……?」
「いつも二人でぼくをどやしつけてる覇気でやればいいだろう」
ナルの言葉に苦笑してしまう。
「どやしつけるって……まあ、でも……わかった」
「……わかった、やってみる」
「よし、一階にいく。霊と交信しやすいようにぼくが暗示でトランス状態に入れる」
「「トランス状態?」」
「霊能力を発現しやすい状態。霊媒なんかが霊を降ろすときの状態がこれだ」
「わ、わかった」
「お願いね」
意気込んでいると、あたしの手に何かが触れた。
驚いて肩を跳ねさせていれば、ナルに手を取られていて握られたのである。
(ナルが!?)
驚いで辺りを思わず見渡せていれば、麻衣も手を繋がれていた。
そして顔を真っ赤にさせていて、今にも爆発しそうになっている。
「降りるぞ。手を離すな」
まさかナルに手を繋がれる日が来るとは……と思ったが、一度夢の中で手を繋がれたことがあるのを思い出した。
だが現実で手を繋がれるとは思ってなかった。
「あ、まっ、待って!これ……」
麻衣がナルを呼び止め、彼の手にぼーさんの独鈷杵を落とす。
「ぼーさんの独鈷杵。ナルにって投げてよこしたんだよ」
「──ぼーさんがぼくに?」
ナルは無表情のまま独鈷杵を見る。
暫く何かを考えていたが、ぽつりと呟いた。