第9章 忘れられた子どもたち
「……そうか。ぼくらは総勢九人いた。それはカップが示している。下には子供が五人、ぼくと麻衣と結衣とぼーさんで四人。合計で九人。ジョンを入れると一人多い。だとしたら──下に残っていたジョンは子供の一人に取って代わられた可能際がある」
その言葉に目を見張る。
「……じゃあ、ジョンは五人じゃなくて四人の子供といて、あの中の誰かがジョンの代わりに五人めとしてあそこに居たってこと……?」
「待ってよ!それじゃ、もしかして──」
「そうだ、消えたのは恐らくジョンだけじゃない。ぼくらの四人のほか、五人。この全員が連中に取って代わられたと考えた方がいい。ぼくらは九人いたんだ。子供は一人もいなかった」
そうすると、あたし達は忘れているんだ。
一緒にいた人たちを何故か忘れてしまっている。
「そんな……」
思い出さなければ。
誰といたのか、誰たちもきたのかを。
(あたしとナルとぼーさん……あと五人……)
「ジョン、真砂子……」
「綾子」
「安原さんとリン」
ぽつりぽつりと全員で名前を言う。
そしてあたしは泣き出してしまいそうになった。
(良かった、忘れてない。ちゃんと皆のこと覚えてる……)
あたしはちゃんと覚えている。
ぼーさん、綾子、真砂子、ジョン、安原さんにリンさん。
全員のことをちゃんと覚えているのだ。
「……桐島裕紀だ」
「……桐島?」
「──誰?」
「二人とも新聞のコピーを読まなかったのか。死んだ教師だ」
「その桐島先生がなに?」
「この現象の犯人、糸を引いてるのは桐島だ。子供があんな姑息なことをするか?陽動のあげくに一人ずつ消し、警戒が強まれば子供を仲間と錯誤させて警戒を解く。子供の意志じゃない、子供の手管じゃない。桐島が背後にいるんだ」
「……じ、じゃあ桐島先生を除霊すればいいってこと?」
「だ、だったらまず先生を捜さなきゃ……ええ?でもどこにいるんだろう……」
「先生のいそうなとこっていうと──」
あわあわとあたした麻衣は考える。
慌てるせいか上手く判断がつかないし、頭がこんがらがっているような……。
「即断するのは危険だが、一階の方が可能性が高いだろうな。彼らが校舎の中に捕らわれるとすれば、使っていた教室か教員控室か、そのどちらかだろう」