第9章 忘れられた子どもたち
「あっ、戻ってきた!」
「どうやら、なんともなさそうだな」
皆無事のようで安堵の息を吐く。
(良かった、みんな無事だ)
マリコちゃん、ツグミくん、タカトくんにミカちゃんとアイちゃん。
子供たちだけにしていたから本当に心配だった。
半分まで階段を降りて、あたしと麻衣は立ち止まる。
そして二人で顔を見合せてから、二人で何かおかしいと感じているのを分かった。
「「待って!」」
あたしと麻衣が声を揃えて叫ぶと、ぼーさんとナルが怪訝そうに振り返る。
「ねえ、戻ろう」
「戻ろうよ……二人とも」
「結衣、麻衣?」
あたしは慌てて二人の服を引っ張る。
するとぼーさんは戸惑ったように、ナルは怪訝そうに眉を寄せていた。
「変だよ、なんか変。子供たちだけでここに残すなんてことすると思う?」
「少なくとも、あたし達はそうしないでしょう?子供たちだけを残して二階に行くなんて」
「なにかおかしいよ、絶対。ね、戻ろう」
「戻ろうって……チビさんたちをどうすんだ」
「お願い、戻ろう!」
「ぼーさん、ナル!戻ろう!」
そこでふと、ある事を思い出す。
外には車が二台あることを。
(車が二台……)
何故、車が二台あるのか。
そこであたしと麻衣は二人の服を勢いよく引っ張る。
「──どうして車が二台なの!?」
「一台を運転してたのがぼーさんで、じゃあもう一台は?あたしも結衣もナルも免許なんてまだとれないのに!!」
二人が息を飲むのが聞こえた。
そしてナルがあたしと麻衣の腕を強く引っ張る。
「麻衣!結衣こいっ!ぼーさん!」
ナルはぼーさんを見て、あたしと麻衣を引っ張ったまま二階へと駆け上がる。
そしてぼーさんがナルの声で弾かれたように印を構えた。
「──ナウマクサンマンダバザラダンカン!」
入口に固まっていた子供たちが飛び出してきて、ぼーさんを捕まえる。
笑いながら粘液のようにぼーさんを絡まるのが見えて、あたしは思わず彼に駆け寄りそうになりナルに掴まれた。
「ダメだ結衣!」
「ぼーさんが!ぼーさん!」
「ナル!」
ぼーさんが独鈷杵を投げて、あたしの足元に突き刺さる。
「麻衣、結衣!」