第9章 忘れられた子どもたち
冷静に呟くナルに目を見開かせる。
「それどころじゃ」
「そのようだな」
「ぼーさん!?」
ぼーさんはこちらに歩み寄ると、あたしと麻衣に真砂子の額を弾いた。
「お前たちもいい加減泣きやめ」
「おどろかはったんでしょう。無理もないです。突然の発火現象でしたし」
何故、誰も安原さんのことを言わないんだろう。
さっき安原さんは火に飲み込まれてしまって、火と共に消えてしまったというのに。
「おねーちゃんたち、どうしたの?」
マリコちゃんがあたしと麻衣の服を引っ張る。
「マリコちゃん、今──」
「今──」
マリコちゃんの顔を見た瞬間、あたしと麻衣は固まる。
そしてお互いの顔を見合せてから、瞬きを繰り返した。
(あたし、今なんて言おうとしたんだろう……)
そんなあたしたちを三人の子供たちは不思議そうに見ていた。
あたし達は玄関にまた戻った。
そして焚き火を囲みながら、ぼんやりとしながら泣いたせいでヒリヒリと痛む目元を撫でる。
ぼーさんとジョンとナルは打ち合わせ中。
除霊をどするか、脱出路はどうするかと話し合っているのだ。
「……醜態ですわね。自分でも呆れてしまいますわ。規模が大きいとはいえ発火現象位で泣き出してしまうなんて」
「うん……」
「そうだね……」
発火現象以外にも、なにか大変なことがあったような気がする。
でもそれが妙に思い出せないのは何故だろう。
「おねーちゃん、ジュースのんでいい?」
「いいよ、入れたげる。タカトくんのコップどれだっけ?」
「ウシさん」
「あたしウサギ。ツグミはカニだよね」
「うん」
子供たちにジュースを入れてあげてから、コップを手渡して微笑ましい光景に笑みを浮かべる。
「ほら、ツグミ。こぼしちゃダメよ」
そんな光景を見ていれば、麻衣が扉のガラスに額をくっ付けて外を見ていた。
同じように外を見れば車が二台ある。
「……ねえ、車を運転してきたの誰だっけ?」
「そういえば……誰だっけ?」
「なんだ、お前ら。寝ぼけてんのか?おれだよ」
「車二台あるじゃん!もう一人は?」
「ぼーさんが二台運転出来るわけないじゃん」
あたしと麻衣の言葉にぼーさんが考え込む。
すると彼の後ろにいたジョンが声をかけてきた。