第9章 忘れられた子どもたち
溜息を吐き出していれば、向こうから笑い声が聞こえる。
マリコちゃんとタカトくんがボールを見つけてはしゃいでいるようだ。
「ほらほらお子たち。ふざけてないでちゃんと手伝っとくれやす」
「はあい」
「なんか、かたいものをさがせばいいんだよね?」
なんだが、マリコちゃんとタカトくんを見ると変な気分になってしまう。
違和感というか不思議なような……なんとも言えない気分だ。
「どうかしましたか?二人揃って」
「ん……さっきから胸の中がモヤモヤするの」
「なんか違和感を覚えるというか……」
「谷山さんたちも?」
安原さんの言葉にあたしと麻衣は顔を見合わせる。
「『も』ってことは安原さんも?」
「うん。なんかこう……どっかに何かが引っかかってる感じなんだよね」
「うん、そう。そんな感じ」
「なんか違和感あるよね」
あたし達はマリコちゃんとタカトくんを見る。
彼らを見ていると何か違和感を覚えてしまうのだ。
そう思っていれば安原さんがあたしと麻衣の耳元に口を寄せてコソコソと話す。
「……ね。マリコちゃんとタカトくんを見てると変な気分がしたりしませんか?」
「あたしもそんな気分がする……」
「結衣と安原さんもそう?なにかイヤなことが起こりそうでドキドキしない?」
「うん……こんな所にあんな小さな子がいるのは危険──てことかな」
「そう……かも。でもそれだけじゃなくて……さっき二階に来るのに踊り場の壁の穴を通ったでしょ?あの時あそこを超えるのが凄くイヤだったんだよね。なんでは分からないけど」
「あたしもそう……なんかすごくイヤな感じがした。ここに来ちゃいけないような気がしたような……」
何故かは分からない。
でもここに来るのがすごくイヤな感じがしてしまったのだ。
本能が警鐘を鳴らしているような……なんとも言えない気分だった。
「いろいろあったから、気弱になってるのかな」
「かもしれないね」
麻衣と苦笑していれば、安原さんがなにかに気がついたような表情になる。
「安原さん?」
「どうしたの?」
「いや、いまなにか……」
「結衣さん、麻衣さん、安原さん。そっちはなにかありましたか?」
声をかけられてそちらへと振り向いた。
ジョンの両隣にマリコちゃんとタカトくんがいるのだが、一瞬ゾクッとした。