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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第9章 忘れられた子どもたち


「さっきからそれが見つからないかと思ってはいるのですけど……」


だけど見つからないのだろう。


「そうですか。手当り次第捜してみるしかないな……全員何を持ってる?」

「えっ」


そう言われてあたしは上着のポケットやズボンのポケットをまさぐってみる。
ポケットに入っていたのは紙テープと時計と飴が二つ。


「紙テープと時計と飴ぐらい……」

「これぐらいしか……」


麻衣はビニールテープと時計だけ。


「聖水とロザリオだけはあります」

「こんだけ。それとオイルライターだな」


ぼーさんは独鈷杵を取り出す。
何故いつもポケットから出てくるんだと思う。


「数珠と塩を少し」

「何にもありませーん」


なんだ、そういうことか。
あたしは少し恥ずかしくなってしまった。
ナルの言葉の意味は装備の意味である。


「最低限の装備というわけだな。もう一度全部の教室を調べてみよう。床や壁も異常がないかチェックする」

「もし、どこにも異常が見つからなかったら?」

「その場合は校舎の外に死体置き場があるとみなして、脱出方法を探す」


こうして、あたしたちは床や壁に異常がないかと調べ始めた。
何分も何十分も時間が進むあいだに、校舎中を調べ始めたのだが以外になにもないのだ。


「だっ!」


机の下を探していた麻衣が痛い音と、痛そうな叫びをあげながら出てきた。


「麻衣!?」

「おい、大丈夫か?」

「だっ、大丈夫、大丈夫。この下にはなんもないよー」

「あーあー、ホコリだらけじゃん」


あたしは麻衣の服を叩く。


(こういう時、綾子がいたら『馬鹿じゃないの?』とか言って同じように世話焼くだろうなぁ。リンさんは心配そうに無言で見てる……)


そんな二人がいない。
急に寂しさが押し寄せてくるものだ。
そう思っていれば、麻衣が大きな声を出した。


「……おーい。綾子ー返事しろよなー」

「麻衣?」

「いつもあんだけうるさいんだから、こういう時だってちゃんと自己主張しろよー」

「……麻衣」


綾子に目掛けて言っている麻衣にあたしと真砂子は顔を見合せてから名前を呼ぶ。


「うん……喋ってないとメゲそうなの」

「そう……だね」

「ごめんごめん!さっ、頑張って捜そー……」

「そうだね」


あたしは麻衣から視線を逸らした時、彼女がナルを呼んだ。
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