第9章 忘れられた子どもたち
「──確かに。過去四年間に失踪した被害者の死体は校舎の中にある可能性は高いな」
「うそ……っ」
「まさかっ……」
ナルの言葉に麻衣と共に思わず立ち上がってしまう。
だってあたしたちは今、校舎の中にいるのだ……どこかに死体があるなんて考えるだけで無理である。
「まーまーまー」
慌てるあたし達を落ち着かせるようにぼーさんが声を上げる。
「死体が腐乱した臭いってのはちょっとやそっとじゃ消えねーの。何度も校舎の中を見回ったんざんしょ?そこらにあったらとっくに見つけてるっつーの」
「……た、確かに」
腐敗したような臭いはしなかった。
それに死骸は見つけたけれど、死体は見つけてはいない。
あたしはそう思いながら座り直した。
「その場所がどこだか捜したほうがいいかもしれないな」
「いっ!?」
「捜すの!?」
「もし敵や動物のようにどこかに獲物を溜め込む習性があったとしたら、リンも松崎さんもそこにいる可能性がある」
「そ、そっか……」
それだったら捜さなきゃ。
なんて思っていれば隣で麻衣が何故か首を横に一生懸命に振っているのが見えた。
何をしているんだ。
そう思いながら頭を小突くと、その動きが止まった。
「原さん。何か感じますか」
「……ええ。はっきり感じるのは存在感の薄い霊だけです。たぶん失踪した被害者の……数は二十人以上です」
「すぱっと解答ができるのは久々だな。真砂子ちゃんや」
ぼーさんの意地悪な言葉に真砂子は不貞腐れたようにそっぽを向いてしまう。
そんなぼーさんにあたしは眉を寄せてから頬を引っ張る。
「意地悪言わないの、ぼーさん」
「すまんせん、結衣さん……いたいです」
全く、子供みたいだ。
なんて思いながら溜息を吐き出す。
「全部子供ですか」
「存在感がないのでよくわかりません。もう少し暗くなって活性化してくるとはっきりすると思いますわ。校舎中をさ迷っています」
「他には?」
真砂子は額に手を当てる。
「……とても大きな歪みを感じますわ。この場に強い因縁がある霊の集団です。ただ……互いの存在が混沌と混じりあっている感じでうまく把握できませんの。場所もよく分かりません。とてもうまく隠れていますわ」
「リンか松崎さんの気配は?」