第9章 忘れられた子どもたち
「……うん」
「ところが約一年の間に同じことが続いた。地元の人間ならおかしいと思うし、そうでもなくても──必ず死体が見つかる勝矢支野田という場所がどこなのか興味を持つ者もいるだろう。それで彼らは死体を発見しないことに決めたわけだ」
「……捜さないってこと……?」
「あるいは発見しても見ぬてぬフリをした」
戦慄してしまう。
まさか、そんなことを地元の人達はしていたなんて……と。
「ところがさらに失踪事件は続く。村の財源は観光収入でまかなわれている。客足に影響が出ては……と情報が外に漏れないよう手を回す。それでも事件は続く」
「……それであたしたちの出番ってわけ?」
「そういうことだな。村長たちにしてみれば事件は防ぎたいが内情は知られたくない。霊能者を探したいが怖いし手の内を明かす訳にもいかない。どうしたものかと思っていたところに──たまたま霊能者のほうからやってきたというわけだ」
それで、あたしたちは嘘を言われて騙されたのだ。
「なっ……それで嘘ばっかり並べてあたし達をここへ来させたわけ!?ひどいよ!」
「村長さんたちが、情報や事情を説明してくれていたら……あたしたち閉じ込められずにすんだのに……綾子やリンさんがいなくなることなんてなかったのに……」
酷い打ちひしがれた気分だった。
村長さんたちがちゃんと説明をしてくれていたら、こんな事が起こるなんてなかったのだ。
怒りと絶望とショック。
色んな物が込み上げてきてしまう。
「──安原さん。まだ、何か隠してませんか?」
冷静にナルが安原さんに聞いた。
「当たりです。失踪事件の被害者は報道された限りほとんどが観光客なんです。キャンプ場やスキー場から子供がいつの間にか姿を消すというのがパターンです」
「……なるほど。それは確実に客足に響くだろうな」
「──そうしたら、被害者の何人からまだこのにいるゆうことやないですやろか」
「え……?」
「いくら何でも死体を発見して見ないフリをしたり、ましてやどこぞに隠したりはせんへんはずです。校舎を捜したら死体があるかもしれれんけど捜さんようにしよ。見つけてもええことはないし。──という事なんと違いますか?」
ジョンの言葉に沈黙が流れる。
痛いぐらいの沈黙に息を飲みながら、冷や汗を浮かべた。