第9章 忘れられた子どもたち
「ご名答です。帰り道、近くの集落の人にカマをかけてみたんですが」
『こないだ失踪した子供は見つかったんですか?』
『……あんた、そんなこと聞いてどうするんだ』
「『失踪事件はなかった』とは言いませんでしたよ」
ならナルの言う通り、失踪事件は今も続いているわけだ。
村長達はその事を隠してあたしたちに言わなかった……そのことにさらに怒りを覚える。
「なるほど……少なくとも『こないだ』と呼んでも差し支えない頃に事件があったわけだ。子供たちの行方は?」
「最初の頃の子供は全員死体で見つかってます。五年前の六月から約一年の間ですね」
「それ以後は?」
「見つかってません」
「……『死体が見つかったのはどこか』という質問を待ってますか?」
薄くナルが笑う。
よく笑えるよ……と短く息を吐き出してしまった。
「やだなあ、わかってるんなら意地悪しないでくださいよ。──待ってます」
「どこです?」
「勝矢字勝矢支野田の山腹です」
「それはこの学校の所在地と一致しますか?」
「一致します」
「……なるほど、そういうことか」
何が『そういうことか』なんだろう。
あたしは理解出来ずに助けを求めるように麻衣を見たが、彼女も分かっていないようだ。
仕方ない。
恐る恐ると麻衣と二人で手を挙げて、ナルをじっと見た。
「……あのー失礼ですが」
「何がわかったんでしょうか……」
「お前らは本当に頭が悪いな」
悪うございましたね、頭悪くて。
あたしは不貞腐れたように頬をふくらませてそっぽを向けば、頭をぐしゃりと撫でられる。
「な、なに……」
「まあ、そう不貞腐れなさんなや結衣ちゃんや。ナルちゃんがちゃーんと説明してくれるから。なあ、ナルちゃん」
ぼーさんはぐしゃぐしゃと頭を撫でてくる。
痛くないけれど雑すぎる撫で方に眉を寄せるが、何故かぼーさんに撫でられた事で不安が小さくなるのを感じた。
そんなやり取り見ていたナルは『仕方ない』と言わんばかりに溜息を吐き出した。
「五年前の五月、この学校の生徒は全員死亡する事故があった。それから一ヶ月後子供が失踪。その死体がこの学校から見つかる。悲劇の後だけに無用な詮索をされないよう、廃校で見つかったことは伏せて、地名だけ発表するわけだ」