第9章 忘れられた子どもたち
あたしは当時のニュースを思い出しながら言う。
「それが分校の全生徒だったもんだから、そこの学校が閉校になって……」
遠足のバス……。
あたしはあの日誌を思い出した。
『あしたはいよいよえんそくです』
『バスの席順でちょっとケンカになりました』
「──それじゃ、その五年前の事故ってこの近くであったことで、巻き込まれた遠足のバスってこの学校の……?」
麻衣の言葉に安原さんが頷いた。
「ですね。それで翌年の新入生が一人しかいなかった事もあって、事実上の廃校になったんです。あのダムが出来たのはその翌年で、たしかに集落が一つ移転してますが──ダムが出来るずっと前の事で廃校に関係ありません」
「……じゃ、なにからなにまで大嘘じゃない!」
「あたしたち、騙されたんだ……」
本当に村長達に騙されて嘘をつかれたのだ。
その事に軽いショックと怒りを覚えた。
「一応合同で慰霊祭が行われて、現場付近には大きな慰霊碑も立っているようです。で、とりあえず事件のカタがついた格好になるわけですが──問題はそこからなんですよね。図書館で若い連中に聞いてみたんですが」
『あの学校ヤバいんだよ。死んだ小学生が寂しがって仲間呼ぶんだって』
『だからこの辺じゃ子供が山に迷いん混んで消えちゃうことが多いんだよね』
その話にゾッとした。
「うそ……」
「新聞をチェックしたところ、確かに小学生くらいの子供の失踪事件が凄く多いんです。それも五年前から頻繁に。五年前の六月をかわきりに、四ヶ月から三ヶ月に一人の割合で消えてたんですが、じつはこれが一昨年でぴたっと止まってるんです」
「止まってる……?」
なんで一昨年でピタリと止まったんだろう。
あたしが不思議そうにしていれば、安原さんは話を続けた。
「正確には一昨年の十月を最後に。新聞のうえでは一年半におよんで失踪事件がないそとになってるわけです。なにやら怪しげでしょう?」
「怪しげって……」
「失踪事件はまだやんでいないということか」
「「ええっ!?」」
思わずあたしと麻衣は声を揃えて叫んだ。
「だから村長たちが依頼にきたんだろうな。間隔が空いてるのかもしれないが、少なくとも完全に終わったはずがない。報道されていなあのは手を回してちると考えたほうがいいだろう」