第9章 忘れられた子どもたち
確かにその通りだ。
後悔するのは後からでもいい……まずは綾子を捜すのが優先だ。
「どうする、ナルちゃん。一階と二階とわかれるかい?」
「わかれないほうがいいだろうな」
「はいな。ほんじゃ二階だ」
ぼーさんを先頭にあたしたちは二階へと上がる。
彼のすぐ後ろをあたしが歩き、その隣を麻衣が歩く。
そしてぼーさんの足が止まり、あたしと麻衣が彼の背中にぶつかってしまった。
「ぼ、ぼーさん……急に止まらないで……」
「──どうしたの?」
痛む鼻を抑えながら、彼の背後から覗いて戦慄した。
『あやこちゃん おめでとう』
壁にそう装飾されて貼り付けられていた。
「な……」
「こんな──」
「えげつないことやってくれるぜ」
結局、綾子も捜してみたが見つからなかった。
喪失感と不安と後悔。
色んなものが押し寄せてくる中で、あたしたちは玄関の所へと戻って焚き火を囲んだ。
「──なるほど。ぼくら完全に嵌められたんですよ」
これまでの経緯や村長のことを話すと、安原さんがそう呟いた。
「だろうな」
「いやいや、これが予想以上の話でして。買い出しに行ったスーパーにいた人達に話を聞いたわけです。するとですね、大概の人が口を開きたがらない。たまに開く人がいても『学校には近寄るな』とそればっかりです。これは何かあるなと言うわけで、地元の図書館に行ってきました。廃校になった五年前の五月が怪しいというわけで、当時の新聞をひっくり返したら簡単に出てきました」
安原さんは鞄からコピーされた新聞を取り出した。
「山津波です」
「え?」
「山津波?」
「覚えてませんか?五年前、土砂崩れが起こって車や家が巻き込まれてたくさんの人が死んだんです」
「そう言われてみれば、あったような……」
「うん……なんか、ニュースで見たような気がする」
大々的にやっていた様な気がする。
なんて思っていれば、ジョンが戸惑ったような表情を浮かべていた。
「ええと……?」
「そっか、ジョンは知らないんだ」
「ボクは五年前やったらまだ日本にいませんでしたし」
「確か、ドライブウェイに面した崖が崩れたんだよね。森林伐採のせいで地盤が緩んで長雨で緩んだ山が崩れて、バスと車の何台かと道路脇の家を飲み込んだの」
「えっと…確か、その中に遠足のバスも混じってた」