第9章 忘れられた子どもたち
「──ずいぶんと賑やかですねえ」
傘とビニール袋を持ったぼーさんと安原さんと真砂子が、中に入ってきていた。
そして扉はきっちりと閉められている。
「──ぼーさん、ドア」
「へ?」
「ドア!ぼーさん、ドア開けて!!」
慌てて下に降りながら叫ぶと、彼らは顔を見合わせる。
そしてぼーさんが訝しそうにしながらも、ドアを開けようとしたがドアノブが回る音しかしない。
「──あれ?」
「ぼーさんどいて!」
あたしはドアノブに飛びつくと、何回もドアノブを捻ったり体当をしてみる。
だがやっぱりビクともしない。
「開かない……!」
「結衣、どいて!」
麻衣と替わり、麻衣が慌ててドアノブを捻る。
ガチャガチャとした音しか響いてこず、ドアは開かない。
「……やっぱりダメだ。開かない」
「そんなはずございませんでしょう?たったいまそこから──」
「開かないの!あたしたち閉じ込められたの!皆が出かけたあともそうだったの。窓は動かないしガラスも割れないの!」
麻衣の叫びで静寂が満ちる。
すると落ち着いた様子でぼーさんが喋った。
「……そりゃ、難儀だなあ」
「な、難儀って……」
「ほんで?なに?頭数たりねえじゃねーの」
「え?」
「リンと綾子は?」
ぼーさんの言葉に慌てて後ろを振り向く。
ナルとジョンはいる……だが、綾子の姿がなかった。
「あ、あ……綾子……?」
「……綾子……う……うそ、いつ……?廊下にいた時は確かに……」
「下へ走ってくる時もいはりました。あの騒ぎで座り込んではったのを立たせて……麻衣さんと結衣さんを立たせて……あかん。ボク、あの時手を離して先に行ってしもうたんや……」
「……ジョンのせいじゃないよ。あたしも手を握ろうとして離した……」
「あたしも……手を握れなかった……」
あの時、ちゃんと繋いでいればよかった。
走ってくる時に置いてかずに、ちゃんと手を繋いで走れば良かった……。
そんな後悔が押し寄せてくる。
「済んだことを考えてもしゃーないわな」
「ぼーさん……!?」
「でも!」
「後悔は意義のあることだが、やることをやってからでいい。綾子を捜しにいくのが先決でしょ」
「──うん」
「そう、だね……」