第9章 忘れられた子どもたち
二階から声が聞こえる。
か細いような小さな声が何重にも聞こえてくるのだ。
「ここにいるね!」
「お願いします」
「……気をつけてね、リンさん」
あたしの言葉にリンさんは頷いてから二階へと上がっていく。
階段を上がり右に曲がっていく姿を見ながら、あたしは不安が押し寄せてくる胸を抑える。
「……ねえ、本当に一人で行かせて良かったのかな」
「誰か着いて行った方が良かったんじゃ……」
「大丈夫よ。アタシやあんた達じゃないんだから」
「……そうだけど」
リンさんはあたしたちより強くて凄い。
それは分かっているけれど、何かとても嫌な感じがしてしまう……そんな時だった。
とてつもない音が響いてきてそれが校舎を駆け巡る。
その次に地震が来たのかと思うぐらいの揺れが襲ってきて、その場に倒れ込んでしまう。
揺れのせいなのかあたしの隣に影壁として置かれていた靴箱が倒れた。
「……なによこれ!?」
綾子が驚いた声を上げるのと同時に、何処からか誰かが走る足音が聞こえてくる。
そして子供たちの笑い声までもが聞こえてきた。
「子供たちの笑い声……?」
「リンさんは……」
「……扉が!」
いつの間にか、扉が閉ざされていた。
慌ててあたしは扉を開けてから叫んだ。
「リンさん!リンさんっ!!」
「リンさん大丈夫!?戻ってきて!リンさんってば!」
「リンさん!」
何度もリンさんを呼ぶが返事がない。
「リン!」
ナルが扉に近づいて声をかける。
だがリンさんの返事はなく、代わりに雨の音が聞こえてきた。
「上を見てこよう」
「お二人だけで残せませんです。一緒にきておくれやす」
ナルとジョンは階段を上がっていき、ジョンはあたし達のほうを振り返って来るように促した。
「でも、ドアが」
「そのほうがいい」
とてつもない不安を抱えながら二階に上がっていき、あたしたちはリンさんを探した。
色んな教室や廊下を探し回ったが、それでもリンさんを見つけることは出来なかった。
「そんな……リンさんどこにもいないよ」
「なんで……」
一体何処に行ったの、リンさん。
不安と恐怖のせいで身体を震わせていれば、綾子が何かを見つけて声を上げた。
「ナル!ねえ、これ……!」