第9章 忘れられた子どもたち
麻衣の言葉で静寂が訪れる。
聞こえてくるのは外からの雨音だけ。
「ほんまに、そうなんですやろか……」
「……それにしても、荷物からなにから残っているのは妙な気がするが……」
確かにそうだ。
もし、麻衣の言う通り亡くなったりしているなら遺品を誰かが取りに来るはず。
「普通なら、遺品を家族が引取りにくるよね……」
「飼ってた動物を放置するなんてこともありえないわよね」
「もし……ほんとに生徒が死んじゃったなら……その子たちの魂が学校に戻ってきてさ迷ってても不思議じゃないよね。それが幽霊の正体かも。もしかしたら、動物たちも子供たちが連れていったんじゃ……」
「せやけど、子供たちの幽霊が出るだけなら村長さんたちかがあそこまで隠そうとしはりますやろか」
「──あの話、本当なのかしら」
綾子の言葉に、麻衣と二人で首を傾げる。
「なにが?」
「どういうこと?」
「この辺りにリゾート施設ってやつ。とてもそんなのに適した地理条件とも思えないんだけど」
「今更信用出来るわけないじゃん」
「でしょ?じゃあなんでわざわざ旅行中の霊能者をつかまえてまで調査させるわけ?多少の幽霊騒ぎならそんな事する必要なんてないと思わない?」
確かにそうだ……と目を見開かせる。
「まさか……あたしたちみたいにここから出られなかって、どうにかなった人が他にも……」
「だったら出入口を塞いだ方が早いわよ」
「そっか、そうだよね……」
ふと、何処からか声が聞こえた。
小さくて聞き取りにくい声である。
「あれ……」
「どうしたの?」
「なんか音が──」
そう呟いた瞬間、上の方からギシギシという軋む音がした。
まるで歩いているような、そんな音である。
「二階になんかいる……」
「行ってみよう」
ナルの言葉で全員で二階へと向かう。
階段を上がって、靴箱を避けて歩きながらあのドアの前に立つ。
「様子を見てきます」
「リンさん……」
「バラバラにならないほうがいい」
「ですが、ドアがありますから。全員で行って二階に閉じ込められてしまうと、さらに事態が難しくなります。ブラウンさん、この場をお願いします。松崎さんも」
リンさんはそう言うと扉を開けた。
あたしと麻衣は扉が塞がらないように、扉に縋ってその場に座る。