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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第9章 忘れられた子どもたち


上からジョンが窓を開けようとする音が聞こえる。
だがガタガタと揺れる音は聞こえるのだけど、開く音は聞こえない。


「……ダメ?」

「なんや、ここの窓は一斉におヘソを曲げたようですね」


結局二階の窓は開かないということで、あたし達は一階へと戻っていく。
一階に降りたら既にナルとリンさんはいて、あたし達を待っていた。


「下はどないです?」

「あかない」

「そしたら、ちょっと乱暴な方法というのはいかがですやろ?」

「乱暴?」


乱暴とはなんだ。
そう思っているとナルはリンさんに目配せをして、彼は近くにある教室から椅子を手に取って戻ってきた。
そして不意にジョンが思い出したように、椅子に聖水を降る。


「離れていてください」


リンさんの言葉にあたし達は距離をとる。
そしてリンさんは勢いよく椅子を振りかぶると、そのまま窓に叩きつけた。

頭に響く音に思わず目をとざす。
そして恐る恐ると目を開いて見ると、窓は割れてはいなかった。
リンさんの手にあるのは砕けた木の椅子の背もたれ部分だけ。


「そんな……なんでよ!?」

「じゃあ、桟を壊せば──」


麻衣は砕けた木の椅子の欠片を手に取り、窓の桟を叩き始めるがそれでも壊れはしなかった。


「麻衣、無駄よ」

「……なんで、壊れないの」


窓ガラスは所々割れていて、意図も簡単に割れてしまいそうなのに割れない。
焦りと恐怖が押し寄せてきている時にナルが冷静に呟いた。


「完全に、閉じ込められたな」


あたし達は玄関の所に戻り、段差に腰掛けて外を眺める。
今も尚雨は振り続けていた。


「……少なくとも、ここに何かがいるのは本当だったんだ」

「そのようだな。まさか、本当にいるとは思わなかったが」

「で?どーすんの?」

「相手の目的が分からないことにはな……」

「相手って」

「解説が必要なのか?ぼくらを超常的な力で、ここに閉じ込めた相手だ。もちろん」

「それってやっぱ人間じゃないよね」

「常識的に判断するとそういうことになるな」


思わず息を吐き出してしまう。
まさかここに閉じ込められるなんて考えもしなかった。


「まあ、何とかなるんじゃない?そのうち買い出し部隊が帰ってくるでしょうし。外からだったらなんとかなるかもしれないじゃない」
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