第9章 忘れられた子どもたち
行ってらっしゃいと手を振っていれば、ポツっと頭に雨が落ちてきた。
「雨だあ!」
「降ってきた〜」
「麻衣、結衣。ジョンと裏に行って雨がかかるようだったらマイクを回収しろ。松崎さんはこちらを手伝ってください」
「はーい!」
「いってきまーす!」
慌ててマイクを回収して、スポットに放り込んでからナルたちと共に玄関へと駆け込んだ。
雨の粒は多くなっていて、風も出ているせいでスポットでは雨宿りは出来ないと判断して校舎の玄関へと向かったのだ。
玄関に辿り着いた時にはびしょ濡れだった。
髪の毛も服もびちょびちょであり、頭を振りながら水滴を散らしていく。
「──ひゃー。すっごい降りになっちゃったね」
「ここまで酷くなるなんて……」
扉は片方だけ開けて、外を眺める。
外は暗くどんよりとしていて、雨粒も大きくて雨音がやけに強く響いているような気がした。
「ひょっとしたら、今日は調査になりませんですね」
「……そうだな」
今日の調査は中止かな。
なんて思っていると、勢いよく扉が閉まる音が聞こえた。
その音に体を跳ねさせてしまう。
「なんだ。風でドアが──って、建物の中に入っちゃてるけど大丈夫だよね?」
「そうだ!入らない予定だったよね!?」
「ばっかねぇ。何かあったら飛び出せば済むことじゃない」
「そ、そうだよねー。午前中全然なんにもなかったもんね」
「とくに何も起きなかったし……」
「本来はこういうものだ」
ナルはびしょ濡れになった髪の毛を撫でながら、静かに落ち着いた様子で言う。
「どれくらいの間大人しいものなの?」
「除霊にかかるまではまったく反応がないこともあるな」
「ふうん」
今までの調査ではすぐに反応が出ていた。
だから今日も何かあるかも……と少し怯えていたが、拍子抜けするほど何も起こらなかった。
そして数十分。
あたし達は雨の強さが弱まるのを待っていたが、どうにもやみそうにない。
「雨……ずっと強いままだね」
「うん。雨、やみそうにないけど……どーするナル。今日は諦めて帰る?」
「どうするかな……」
「なんにしても、ぼーさん達が帰ってくるのを待たなきゃね」
あっちもあっちで困ってそうだな。
なんて思っていれば、ナルが何故か扉の方へと歩き出した。