第9章 忘れられた子どもたち
「それはナルだろ」
「そうですか?渋谷さんはむしろ……」
「「怪人二十面相!」」
ぼーさんと安原さんが楽しそうにハモる。
あたしと麻衣は何がなにやらと思いながら、二人に挟まれながら歩き出す。
「BDバッジを作ろうかな」
「なあに、それ?」
「少年探偵団が持ってる七つ道具の一つでー」
なんてワイワイと話しながらあたし達は戻った。
ベースに使える様な部屋がないので、あたし達はベースというよりもスポットというベースを作っている。
今回のスポットは体育館の渡り廊下の所だ。
「なにかわかりそう?」
バインダーを見ているナルに麻衣が声をかける。
「さてな。なんにしろ初日から動きがあるなんて期待はしていない」
「本当になにかあるんでしょうか、ここ。雰囲気だけはそれらしいですけど」
「さあ……調べてみればわかるだろう。どうせヒマを持て余していたし、何かあれば儲けものというところかな」
そう、ナルにとっては暇つぶし。
お兄さんの遺体が上がってくるまでの暇つぶしなのだ。
このメンバーでの調査は最後かもしれないのに、何故こんなにも淡々としていられるのだろうか。
そう思いながらナルを少し睨みながら溜息を吐き出す。
「──もっとも、気になることがないわけじゃないが」
「え?」
「気になること?」
「どう考えても、わざわざ村長が直々に腰を上げて依頼に来るような事件じゃありませんもんね」
「そうだな」
「な、なんで?どこが?」
「ほら。キャンプ場の受付のおばさんにもあとで話を聞いてみたじゃないですか」
その言葉に、あたし達はキャンプ場の受付のおばさんに怪談話があるか聞いたことを思い出した。
『ええっ、幽霊?そんな話聞いたことないけど……』
「ほかの職員たちも知らないって言ってたでしょう?でも本当になんの噂もないのなら、どうしてわざわざ依頼に来たかってのが問題だよね。村長さんたちの様子もなんか釈然としなかったし」
安原さんの言葉でようやく理解した。
ナルが何が気になっているのかのが……。
「安原さん。探偵の真似事をする気はありますか?」
「やりましょう。付近の聞き込みですね?」
そういえば、安原さんは探偵みたなことが得意だったな。
なんて思っていれば、校舎の隅から綾子が顔を覗かせた。