第9章 忘れられた子どもたち
安原さんの言葉に不思議そうにすれば、彼はにこやかに説明してきた。
「いやあ、ぼくずーっとここの人達には秘密が多いなあと思ってまして」
「そりゃ、ナルとリンさんは」
「だけじゃなくて。松崎さんは特殊な能力の持ち主でしょ?原さんは霊媒のように見えて実はサイコメトリー?能力者なんじゃないかと。谷山さん達には親兄弟がいなくて、滝川さんは霊が見えてたけど見えなくなったと。あとはブラウンさんだけですね」
「ああ、それならジョンはエクソシストじゃないぞ」
「……え」
「「ええっ!?」」
まさかの事実にあたしと麻衣が声を上げる。
ジョンのことはずっとエクソシストと思っていたのに、そうじゃないと言うのはどいうことなのだと。
「そ、そ、そ、それどういうこと?」
「本人に確かめたことはねえけどな。悪魔祓いってのはな、誰でも出来る訳にはいかないの。とくにカトリックだと色々ややこしい事があるらしいぜ。よくは知らんけどさ。司祭ってクラス以上の神父じゃねえと出来ねえとか」
「だからジョンがその司祭なんでしょ?」
「あんな若い司祭がいるもんかい。しかも悪魔祓いは上の許可がないとできねーの。そのうえ一定期間断食をする必要がある」
「……そんなややしいことしてるの見たことない……」
「ジョン、断食とかしてないよね……」
今までジョンとは普通に食事を一緒にしてきた。
そして上というかそういうお偉さいに連絡してるのも見たことがない。
「教会にいるのは確かなようだから、神父なのは間違いねえだろうが──に、しても許可なしにフラフラ悪魔祓いをしてまわるなんてのは下手すりゃ破門になろうかって大問題だ。なんか事情があるんだろ」
「……それ、いつ気がついたの?」
「最初に会った時から分かってたぜ。ナル坊も分かってんじゃねーの。ずいぶん若いって不審そうに言ってたからさ」
そういえば……とジョンと初めて会った時を思い出す。
確かにナルは『ずいぶんと若い』と言っていた。
「あとは少年だけだな」
「ぼくは霊能者じゃありません。たんなる少年探偵団てますから」
「おっ、うまい!」
「でも一人だよ?」
「それじゃ、探偵団にならないよ?」
「谷山さんたち入りません?」
それでも三名だけだと笑う。
「ほんじゃ小林くん、戻るか」
「はい、明智先生」