第9章 忘れられた子どもたち
騒ぎながらも、無事にマイクを設置出来た。
あとはスタンドに重しを乗せて完了だ。
「──よっし、重しオッケー。終了ー!」
「お疲れ様」
「ぼーさん、こっち終わったよ」
ぼーさんの方を見ると、彼は校舎を見上げていた。
「どうしたの、ぼーさん」
「なにか感じる?」
「いや。なーんか懐かしいなあと思ってさ。『廃屋になった木造校舎』」
「「あ」」
ぼーさんの言葉にあたしと麻衣は顔を見合せて笑う。
するとぼーさんの言葉が分からなかった安原さんが、首を傾げていた。
「なんです?」
「あのね、あたし達が最初に会ったのもこういう校舎の調査だったの」
「あたしと麻衣が通ってる高校にね、木造校舎があったの。そこに皆が調査に来てたの」
「あれがこのメンバーでの初めての調査だったんだよね」
懐かしい気分になる。
初めてあの木造校舎でナルとリンさんと出会い、そしてぼーさんと綾子にジョンと真砂子にであった。
でも、もしかしたらこれが最後のこのメンバーでやる調査なのかもしれない。
なんて思ったら、心にぽかりと穴が空いたような気がした。
(寂しいな……)
これが最後かもしれない。
それは酷く寂しくて堪らなかった。
「谷山さんたちは、ここに何かいると思います?」
突然、安原さんから話を振られた。
「え?んー……気味悪い気がするけど、あたしは全然。結衣は?」
「以下同文かな」
「滝川さんは?」
「おれに聞くな」
「ぼーさんは全然見えない人だもんねぇ」
「悪かったな」
ニヤリと麻衣が笑えば、ぼーさんが睨んでいた。
それをクスクスと笑いながら見守る。
「不思議ですよねぇ。普通霊能者って見えて当たり前じゃありません?原さんは一応見えるし、松崎さんはちょっと特殊な霊能者だから良いとして。ブラウンさん(エクソシスト)がほいほい霊が見えるとも思えないけど──滝川さんが見えないのは妙な気がするなあ」
「……昔は見えたんだけどな」
「「えっ!?」」
まさかの言葉に、あたしと麻衣は驚いてぼーさんの方へと視線を向けた。
「除霊で事故って頭打ってなー。おツムの配線が変わっちまったらしーんだわ」
「へえ……」
「……そんな事があるんだ」
「なるほど!それが滝川さんの秘密だったんですね」