第9章 忘れられた子どもたち
くるりと麻衣はぼーさんの方を振り向く。
そして彼に手伝ってもらうように言っているが、あたしはそれを少し離れたところから見る。
(昨日のせいで……なんか、ぼーさんの近くにいられない)
全部を暴くと言われた。
好きな人やぼーさんの事をどう思っているかを全てを。
頬に触れられて手の熱や、あの眼差しのせいでぼーさんに近寄れない。
怖いというか……説明しにくい気持ちである。
「結衣〜!行こうー!」
「あ……うん」
あたしと麻衣、ぼーさんと安原さんは集音マイクを設置する為に校舎の外側を回る。
廊下側の割れたガラスから音を拾おうと、設置をしていく。
「おーい、嬢ちゃんたち。マイク届かねえぞ」
「えー?」
「届かないー?」
ぼーさんの方へと近寄れば、マイクのスタンドが割れた窓ガラスの所に届いてなかった。
割れているところは高さがあったのだ。
「もう一つ下のガラスを割らないとダメですねぇ」
「石か何かで割るしかないねぇ」
「あっ、あたしやるー」
「怪我しないようにねぇ」
麻衣は石を手に取ると、野球のピッチャーのように構えてニヤリと笑う。
それをあたしとぼーさんと安原さんは石段に座りながら見守ることに。
「──さあ、ピッチャー振りかぶってー……投げましたーっ。ボール!」
麻衣の投げた石は窓には命中せず。
「今の投球いかがですか、滝川さん」
「いけませんね。肩に力が入ってるいるようです」
「そうですね。二球め!──もボール」
「三球目に注目しましょう」
「投げましたが、またもやボール。追い詰められてました。ボール三つめです」
「意外にノーコンですね、このピッチャー」
「頑張れー、麻衣選手ー。ノーコンだってさー」
中継コンビに混じり、あたしは応援観客である。
「こんどこそっ!」
麻衣は怒りを込めたのか石を勢いよく投げ、やっとのことで窓ガラスが割れた。
「おお!」
「っしゃあ!」
「必殺の一撃が炸裂!ガラスはもんどりうって地面に落ちたあっ」
「遺恨を込めた怒りの鉄拳というところでしょうねぇ」
「いやー、流石です。ボンバー谷山!」
「誰がボンバー谷山やねーん!」
「うおっ場外乱闘か!?いけっ、越後屋マン!」
「うやーネーミングセンスないなぁ」
「いつの間にプロレスに……」