第9章 忘れられた子どもたち
「この村はご覧の通り山の中で、ろくな畑もありません。ゴルフ場やキャンプ場や……唯一の財源である観光収入が絶たれると死活問題なのです」
「なるほど……」
ナルは小さく笑う。
なんで笑ってんだと思いながらも、たしかにこの山の中は何も無い所だよなと思った。
(キャンプ場はあるけど……あとはなんも無い山。こんな所で幽霊騒動とかあったらそりゃ困るよね……)
面白半分で来る人間はいるだろう。
だけど他の観光客は気味が悪い場所にわざわざ来たりはしない。
たしかに死活問題である。
「ところで怪談話が出てくる原因に心当たりは?」
「とんでもない!原因が分かれば供養なりなんなりするのですが」
「その学校で何かあったというようなことは?」
「ありません」
「幽霊を見たという人に会えますか?」
「いえ……そういう噂があるだけで。誰か見たのかはわたしにも……」
全員失笑してしまう。
そしてナルまでもが苦笑を浮かべてしまう始末だった。
単なる噂。
見た人もいなければ、原因も分からない。
これは困ったな……という雰囲気であった。
「では全く単なる噂なわけですね。そんなに気になさる事でもないように思いますが」
「そ……それはそうなのでしょうが。念の為にですね」
「一応調べてみます。──ただし、泊まり込みはできません。こちらの作業の進行状況が気になりますので、場合によっては調査を途中で打ち切ることになる可能性もありますが、よろしいですか?」
「……けっこうです」
「では、本日中にこれからお願いする資料を集めていただきます」
村長さん達は最後まで居心地悪そうにしながら帰って行った。
そんな後ろ姿を見送りながら、あたしは首を傾げながらため息を吐き出す。
「なんか……曖昧だねぇ」
「だな。──本当になにかいるのかね」
「ね〜」
「いるとしたら学校で死んだ人の霊か……違うか。だったら心当たりありそうですもんね」
村長さん達に出していたお茶を片付け、出していたテーブルを片付けていく。
その間にあたし達は学校についての話をしていた。
「あとは学校以外の場所で死んだ学校関係者……しかしどうして学校なんでしょう」
「どうしてって?」
「なにか不思議なことがあるの?」