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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第9章 忘れられた子どもたち


向こうを発つ……とはどういう事だ。
あたしは思わず足を止めて、扉が閉まっていくバンガローを見た。


「業者に連絡してダイバーを至急寄越してもらいました。そちらのほうは午後に到着すると」


思わずぼーさんと顔を見合わせる。


「ダイバーって、水の中潜る人だよね?」

「ああ」

「なんでダイバーなんて呼んだのかな」


ぼーさんは手を口元に寄せて考え込む素振りを見せた。


「ナルはここを捜してたみたいだったよな」

「だったよね」

「すると捜しものは正確にはここの水の中にあるわけだ」

「水の中……って、あっちにあるダム湖……?」


ナルはあの時、ダムを見て『やっと見つけた……』と呟いた。
ダム湖の中に何があると言うんだと思いながらも、あたしは思わず腕を撫でる。

なにか嫌な予感がする。
寒気とかぞっとするとかじゃなくて……なにか、とてつもない嫌な感じがしたのだった。

午後になり、あたしと麻衣は暇だからとダム湖へと散歩することにした。
ダム湖は泳げるのか、遊びに来ている人や水着を着ている人がチラホラいる。


(あ、あれ……ダイバーだ)


湖の所に船がいた。
そこに二人のダイバーがいて、湖の中を覗き込んでいる。


「あれって、さっきリンさんが言ってた……」

「うん……ダイバーだよね」


何を捜しているんだろう。
なんて思っていると、その様子を見ていた見物客の水着を着ている人がポツリと呟いた。


「ねえ、ちょっとヤな話聞いちゃった」

「なに?」

「売店のおばさんが言ってたけど、あれ死体を捜してるんだって」


息が止まる感覚を味わった。


「ウソだろ」

「いやーっ。気持ち悪くない?」

「泳ぐのやめねぇ?」


騒ぐ見物客の間をくぐるように視線をダム湖に向ける。


(死体……?ナルは、死体を捜している……?)


あのダイバーはリンさんが呼んだ。
恐らくナルが呼ぶように言ったはず……それならば、ナルはここで死体を捜しているということ。

気分が悪くなってきた。
脈がとてつもなく早くなっているせいだと思いながら横を見ると麻衣があたし以上に顔色が悪くなっていた。


「麻衣……日陰で休もう……」

「う、うん……」


ダム湖から少し離れたところに森がある。
そこは日陰があるから休むには丁度いいと思い、振り返ってたが足が止まった。
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